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2016.11.5(木)
第41回 「振り子の法則」(2016年11月5日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第41回

最後は、クリントン氏の逃げ切りかと思われたアメリカ大統領選でしたが、最後に私用メール問題が再燃して予断を許さない状況です。
このコラムが出る頃には、結果が出ているかもしれませんが、今回は大統領選をここまで見てきて感じたことを書きます。

本日のテーマは、振り子の法則です。
私はこのままクリントン氏が勝利する方が、先々問題が大きくなるのではと考えています。
理由は、どちらがの政策が良いとか資質がどうとかいうことではなく、振り子の振れ幅の問題です。
事実として捉えておかないといけないのは、アメリカ国民の多数が現状に強い不満を持ち、その原因は格差そのものや、格差の元となる貧困にあるといことです。
上位10パーセントの富裕層の収入が全体の5割、資産では7割というのはよく指摘される事実です。
さらに問題なのは中間層の没落です。
1982年、中産階級職は職全体の52%を占めていましたが、2010年には42%に低下しています。その一方で、82年には30%ほどだった貧困階級職は2010年には41パーセントまで上昇しています。
この不満を一身に引き受けているのがトランプ氏です。
「自分たちが食べるに苦労しているんだから、他人にいい顔している場合ではない」という主張です。
この答えの良し悪しはおいといて、今のアメリカの最大の問題に、ストレートに答えています。
彼が大統領になれば、この不満に対するガス抜きはなされます。うまくすれば多少の改善が見られるかもしれません。
外交などはさておき、自国民の不満に対する対策はなされるはずです。
(一方で、外交などは現実に歩み寄ったソフトランディングになるはずと思っています。)
私が問題だと感じるのは、このガス抜きがなされなかった後の8年後の揺り戻しの方が、はるかに激しい振り子の振れ方になるのではないかと言うことです。
格差と貧困の問題は、市場経済と民主主義(選挙システムなど)に組み込まれた問題で、解決できる問題ではありません。市場経済と民主主義を標榜する国家の持病です。
持病は、上手く付き合っていくもので、その方法は少しだけ要望を聞いてガス抜きするか、外部に敵を作って意識を逸らすかです。後者の典型が戦争です。
このまま、トランプ支持者の声が聞き入れられないまま8年が過ぎると、その人数とエネルギーはどうなるのでしょうか?
問題の根本的な解決策を持たないのであれば、適切に振り子を振りながら歩んで行く事が賢明と思います。
皆さんはどう思いますか。

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