2016.9.1(木)
第39回 「築地市場移転延期」(2016年9月1日)
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第39回
日本人選手の大活躍となったリオ オリンピックも無事に終わり、パラリンピックがスタート。そしていよいよ次は東京というこのタイミングで、築地市場の移転を延期するというニュースが流れてきました。
移転の約2ヵ月前での延期発表ですから驚きです。
小池知事の記者会見の様子は、Webでも確認できますが、理路整然としてとても分かりやすいものでした。
まず、結論を述べる⇒そして、哲学としての「都民ファースト」を押し出して新知事の理念を提示⇒反対派の主張(デメリット)に先に触れる⇒延期の理由を3点述べる⇒各理由を証拠資料をもってバックアップしていく、という構成でした。
ディベートの立論のお手本になるようなスピーチであったと思います。
さて、これが論題の是非を問うディベートであれば、ジャッジの判断を仰ぐことで勝敗を決して良いのですが、現実には「延期」後の着地点を見つけることが必要です。
今回は移転の中止ではなく、あくまでも「延期」とされています。
つまり、小池知事が立ち上げるプロジェクトチームの調査結果によりますが、何かしらの形で再開をすることが既定路線となっているはずです。まさか、5884億円のお金をかけて作った豊洲新市場を市場として使わないという選択肢はないはずです。
そうなると、今回の延期は、
1、安全性を確認する、
2、不透明な費用を確認する、
3、1,2の結果を情報公開する、為の延期となります。
つまり、既定路線の確認行為の為の延期となります。
確認の結果、延期から中止に持っていくことも視野に入れているのであれば、これは都民ファーストを実現する素晴らしいことと思います。しかし、「豊洲新市場」を市場として今後使わないことはほぼ無いはずですから、単に確認(もしくは部分的なプランの修正)の為の延期ということになります。
これは、政治的なパフォーマンスになっていないでしょうか?
それも、かなりのデメリットやオリンピックの開催に向けてのリスクを孕んだパフォーマンスになっていないでしょうか?
見事なスピーチの陰に、この危ういパフォーマンスが見え隠れして、気が気でなりません。
この延期の結果が本当に都民ファーストにつながるのかをしっかりと見守る必要があります。
皆さんはどう思いますか。
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