2016.5.9(月)
第35回 「組織を健全化し隠蔽体質から脱却するには」(2016年5月9日)
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第35回
「世界一過酷なモータースポーツ」と言われるパリ・ダカールラリー。
12000キロにもおよぶ工程を約3週間もかけて走破するとても過酷なラリー。
そのラリーで、7連勝を含む総合優勝12回という偉業を成し遂げたのが三菱自動車のパジェロでした。
私の中の三菱自動車とは、まさに荒野を疾走するタフな四輪駆動車のイメージでした。
「さすが、戦車を作っている会社の仲間だな。」と世界での活躍を誇らしく思っていました。
その三菱自動車が再三にわたる事実隠蔽で、経営のピンチに立たされています。
早くも海外の自動車会社への身売り話も出ているようです。
マスコミでは例によって三菱バッシングが始まっていますが、世の中のサラリーマンは、今回の事件を他人事として責めることができるのかなと思います。
社会人になって一番最初に教えられることは、これはどんな会社でもそうですが、報連相の重要さです。
一方で、まともに報連相をしているだけでは仕事が進まないことにすぐに気が付くはずです。
まともな報連相ができていれば、東芝やシャープや東電や、、、といった企業の不祥事はもっと早く、報告されそして改善しているはずです。
どうもこれは、三菱自動車だけの問題ではなく、多く日本の企業・社会に巣くっている問題に思えてなりません。
いや、エンロン社やワールドコム社のことを思い出せば、人が集う組織には必ずついて回る問題ととらえた方がよさそうです。
(もちろん、三菱自動車がやったことが許されることと言いたいわけではなく、20年近くにわたる不正にはびっくりするばかりです)
何故問題を隠蔽することが組織において繰り返されるのか。
ピーター・ドラッカーは、その著書「経営者の条件」のなかで、
「部下は上司を喜ばせるためでなく、仕事をするために給料を払われている」
と書いています。
わざわざこのように書かれていることからも、また、日常のみなさんの体験からも分かる通り、「人は意識的にも、無意識にも上司の顔色みて仕事をしている。」のです。
そしてその上司が厄介な問題を嫌う人であれば(事なかれ主義者であれば)、社員は臭いものにふたをし続けるしかなくなります。
どうでもよいことは、しっかりと報連相されますが、肝心な問題はスルーされます。
厄介な部下からの報告や相談に、本当に真摯に取り組むことができるミドルやトップを育てられない限り、この問題は続くと思います。
「上に行くほど、泥をかぶる。」
あまりスマートではありませんが、そんな働き方が組織を健全にするように思います。
最後に、素人考えですが、悪路走破性の向上という技術と燃費の向上はとても相性が悪いように思います。
三菱自動車は、強いもの、壊れないものを作る技術で復活してほしいものです。
皆さんはどう思いますか。
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