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2015.7.3.(金)
第24回 「安保関連法案と空転する議論」(2015年7月3日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第24回
前回も触れましたが、安保関連法案に関する国会は、混乱を極めています。
憲法学者による違憲合憲の意見。
不適切発言
作家を呼んでの勉強会での、マスコミへの圧力発言
などなど、
本筋からそれた話題で時間ばかりが経過しています。
憲法論やマスコミと政治のかかわり方など、この機会に国民の認識や理解をふかめることは重要ですが、まっすぐに議題に取り組んでいるように思われません。
これは、会社の会議でもよくあることです。
「今期から、新しい営業システムを導入します。」
「おいおい、いままでの方法にやっと慣れてきたところなのに。もう変えるのかい。」
「今回のシステムは、最新式で他社でも成功事例がおおくあります。」
「成功している会社とは、業態が違いすぎるでしょう。」
「っていうか、それって、部長の今期のノルマだからでしょ。」
「製品説明にきたシステム会社の人、この業態ではうまくいかないかもって言ってたでしょ。」
「だいたい、あの部長ってさー、強引なんだよね。もう少しリーダーとしての見識ほしいよね。」
 、、、
まったく笑えない話です。
何が問題なのでしょうか。
話し手がてんでバラバラの方向を向いていることが、議論空転の原因です。
さまざまな立場の人がいるので、様々な意見が出ることは良いことですが、話し合いの「方向」、つまり何を良くしようとしているのかまでボケてしまうと上記のようになってしまいます。
では、どのようにすると「方向」を合わせられるのでしょうか。
ディベートでは、「五大争点」といって、話し合うポイントを指示しています。
その最初のスタートは、「問題の深刻性」についてです。
どのような問題があるのか?
その問題は、深刻な問題なのか?
この質問に対して明確にYesと言えない限り、議論を先に進めることを禁止しています(それ以降の議論は無効となる)。
上記の例では、「現在の営業にどのような問題があり、それは深刻な問題なのか。その原因は現状のシステムにあるのか。」という質問に対して、メンバーの同意が得られない限り、話し合いは同じ方向で前に進めません。
同様に、日本の安保法案についても、将来日本が遭遇するであろう、軍事的・経済的な問題があり、それが大きな問題であることを、共有できない限り、会議の空転は収まらないはずです。
ちょうど国会の会期も大幅に延長されたことですので、
五大争点にそって、一つずつ議論を進めてほしいと切に願います。
まずは、日本を取り巻く軍事的・地政学的な問題の所在とその深刻性から。
皆さんは、どう思われますか?

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