BMブログ

BMブログ記事詳細

2015.6.4.(木)
第23回 「日本の安全保障政策~行間から真の物語を読み取る力~」(2015年6月4日)

ほぼ月イチコラム 時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第23回
日本の安全保障政策をめぐって、国会で激しいやり取りがなされています。
この議論はとても分かり難いのですが、その理由は「国会議員のレベルが低い」からなのでしょうか?
それだけでは国民として、無責任になってしまいます。
今回は何故分かりにくい議論になっているのかを探ってみましょう。
分かりやすい話とは、筋道を立てた話のこと。
つまり、物語がはっきりしている話です。
物語の紡ぎ方で代表的なものが「具体と抽象」です。
「具体と抽象」を途切れなく行き来することで、
原則論と詳細論がつながり、聞き手の頭の中に物語が刻まれます。
今回の議論では、
・国民の生命と財産を守る
・そのためには、米国と「切れ目のない」形で我が国の平和と安全を確保する
となっており、「抽象論=原則論」はかなり明確です。しかし、具体論になると途端に議論がぐらついてきます。
具体例の提示においては、首相は「ホルムズ海峡」を連呼することになります。
つまり、多くの具体例を挙げられないのです。
これには、明確な理由があります。
おそらく安倍首相は「現在の日本に多大な脅威を与えている仮想敵国中国に対して、米国と協調しながら、周辺事態の異変に備える必要がある。」と叫びたいと思います。
それが、より具体的かつ説得力のある説明になるからです。
物語にリアリティを与えるとも言えます。
しかし、それを言ってしまうと、その発言自体が日中関係に新たな緊張を生み出すことになります。
「ズバリそのまま」を話すと、問題がややこしくなるのです。
「全部話してしまえよ!」という民主党の意図と「そんなこと言えるかよ!」という自民党の腹の中とが、分かり難い議論を生み出していると言えます。
利害対立がある関係を理解していくには、言葉になっていない情報や間柄を読み解いていく力が求められそうです。
ネガティブな表現では「腹芸」となりますが、「深い洞察力」とも言えます。
行間から真の物語を読み取る力が必要がなのです。
皆さんは、どう思われますか?

PAGE TOP