2017.4.12(水)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第56斬 「アウフヘーベンしようぜ!(森友学園問題)」(2017年4月12日)
第56斬 「アウフヘーベンしようぜ!」
「森友学園問題」で安部内閣が追い詰められています。
いったい、なぜか?
ディベート的アプローチで考察していきます。
■弁証法とは
「弁証法(べんしょうほう)」が生まれたのは古代ギリシャと言われています。
新選国語辞典の定義を見てみます。
『自己の内にある矛盾を、自らの発展によって失くして、
新しく統合された統一に到達する理論』
うーん、全然分かりません。
これでは、興味も湧かないと思いますので、
少し噛み砕いて説明します。
相反する(矛盾する)価値観を表す言葉(対義語)を挙げます。
・自由 ⇔ 統制
・解放 ⇔ 閉鎖
・私 ⇔ 公
これらの相反する概念を、
一方だけが完全と正しいと決め付けるのではなく、
統合して高めていく思考法、それが弁証法です。
たとえば、トランプ大統領の出現はまさに「弁証法」の帰結。
「グローバリズム」の対極にある概念「ナショナリズム」を掲げて、
アメリカ新大統領に就任しました。
「グローバリズム」が進み、国境がなくなると、
人の移動がたやすくなります。
結果、もともと住んでいた国民の仕事が奪われ、賃金水準は下がります。
また、不満を抱える移民・難民によるテロが起こり、治安も悪化します。
行き過ぎた「グローバリズム」のアンチテーゼ(反対命題)として、
「ナショナリズム」の見直しが起こりました。
これがトランプ現象の背景です。
■両面から見る思考法
行き過ぎたグローバリズムを是正したい、
という米国民の思いが、トランプ大統領を生みました。
だからといって、
グローバリズムを捨てる必要はないのです。
何事にも両面(良い面、悪い面)があります。
「雇用の流動化」「物価の下落」「ルールの標準化」
などは、グローバリズムの恩恵といえます。
そうであるならば、捨てるよりも活かすことを考えるべきなのです。
現に、トランプ大統領は、
「TPP廃止」を進める一方で、
「二国間FTA」による「自由貿易」を推進しようとしています。
弁証法は両面から見る思考法。
相反する価値観のそれぞれ良い部分を切り捨てないという考え方。
ビジネスにおいても、とても価値の高い考え方です。
二つの価値観を統合していき、新しい次元に進化・発展させること。
それを、ドイツ語で、aufheben(アウフヘーベン)と言います。
アウフヘーベンは「止揚(しよう)」と訳されているように、
上の方に上昇するイメージです。
トランプ大統領の挑戦が、
アメリカ合衆国をアウフヘーベンしていくことを、
心から願ってやみません。
■安倍おろしの背景
一転、日本に目を向けます。
まずは、安倍内閣の成績表をみてみましょう。
経済に絞って検証すると分かりやすいです。
◆実施済み
①税金
- 所属税、住民税、固定資産税 ⇒増税
- 相続税、贈与税 ⇒増税
②社会保障
- 年金支給額 ⇒減額
- 年金保険料 ⇒増額
- 医療費 ⇒引き上げ
- 介護保険料 ⇒引き上げ
- 児童不要手当 ⇒減額
- 年金基金 ⇒減少(GPIFによる巨額損失5兆円)
③海外支援(バラマキ)
- モザンビーク ⇒700億円
- ASEANのODA ⇒2兆円
- インド円借款 ⇒2,000億円
- ミャンマー ⇒600億円(加えて債務免除2.3兆円)
- ウクライナ ⇒1,500億円
- バングラデシュ ⇒6,000億円
- アフリカ ⇒3兆円
- アメリカ投資 ⇒50兆円(年金基金から献上)
◆検討中
①消費税引き上げ(8%→10%)
②法人税引き下げ
③年金受給年齢引き上げ
④企業側の非正規雇用拡大
⑤移民1,000万人受け入れ
まあ、すごい実績です。
ここまで、日本および日本人を地獄に突き落とした内閣は、
日本史上並ぶものはないと思います。
安倍内閣による「売国」政策が行き過ぎた現在、
「救国」という対立する価値観が台頭するのは、
弁証法の文脈からは何も不思議はありません。
「森友学園問題」は、
『さすがに、このまま安倍内閣を存続させるとマズイ』
と考えた官僚による「安倍下ろし劇場」とみます。
第二幕(加計学園問題:36億円不正)も控えており、
内閣解散→総選挙は時間の問題でしょう。
■アウフヘーベンしようぜ!
古いシステムが行き詰まると、
新しいシステムに切り替えたい、という葛藤が生まれます。
その葛藤を「停滞」として捉えるのではなく、
「発展」の契機として捉えることができれば、
新しい解決法が生まれます。
ディベートはまさに「弁証法」。
一緒にアウフヘーベンしませんか!!
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