2017.3.8(水)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第55斬 「森友学園事件のトリックスター」(2017年3月8日)
第55斬 「森友学園事件のトリックスター」
「森友学園事件」が、連日テレビ・ネットを賑わしています。
「森友学園事件」とは大阪府豊中市にある9.5億円の国有地が、
2016年6月に埋設物撤去費用8.2億円を控除した1億3400万円で、
森友学園に払い下げられた事件のことです。
■五大争点(ファイブ・ストック・イッシュー)
安倍首相の奥様である昭恵夫人が森友学園の名誉校長を引き受けていたことから、
国会では「アッキード事件」と揶揄されています。
しかし、問題領域の設定という観点では不適切なネーミングです。
ディベート的アプローチによって、問題領域を絞り込んでいきます。
まず、五大争点について説明をします。
争点1)そもそも問題はあるか?
争点2)問題は深刻か?
争点3)問題の内因はなにか? 注)内因とは現状の問題が生じている根本原因となるもの
争点4)プランは問題を解決するか?
争点5)プラン導入によるメリットはデメリットを上回るか?
五大争点とは上記「5つの問い」を順番に検討することで、
効率よく問題の本質を追究し、問題解決プランを検証する手法です。
◆争点1:森友学園事件にそもそも問題はあるか?
安倍首相の国会答弁を時系列に並べてみます。
答弁①「自分と妻は、学校認可と土地取引に関与していない」
答弁②「もし自分が土地取引に関与していたら首相および議員を辞める」
答弁③「土地売買の正当性については会計検査院の調査に委ねる」
まず答弁①は問題の本質を全く付いていません。
今回の問題は、法律を引用することで明快になります。
財政法第9条
「国の財産は、適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない」
国有地が85%も値引きされている訳ですから、「適正な対価」というには無理があります。
事件の本質は「財政法違反の疑い」に集約されます。
◆争点2:今回の「財政法違反の疑い」は深刻か?
安倍首相の答弁②を改めて見てみます。
「もし自分が土地取引に関与していたら首相および議員を辞める」
一国の首相の進退に関わる大問題ということです。深刻性ありです。
◆争点3:問題の内因はなにか?
財務省が国有地を廉価で払い下げている訳ですから、
財務省の記録を確認することで、問題の内因(根本原因)が分かるはずです。
しかし、財務省の佐川宣寿理財局長は、
森友学園への国有地払い下げに関する交渉過程を記した文書等を廃棄したと述べています。
財務省文書管理規定では、
「国有財産の管理及び処分に関する重要な実績が記録された文書の保存期間は10年」
と定めているにも関わらずです。
問題が深刻である以上、事実関係の追及は必須です。
記録がない以上、関係者を参考人として国会に招致する必要があります。
参考人①:籠池泰典氏(森友学園校長)
参考人②:中道組(埋設物撤去及び土壌汚染除去を担当)
参考人③:藤原工業(小学校建設工事を担当)
参考人④:武内良樹氏(前近畿財務局長)
参考人⑤:迫田英典氏(全理財局長)
もし与党に事実を追求する気があるなら、参考人招致に反対してはいけません。
◆争点4:プランは問題を解決するか?
安倍首相のプラン(=答弁③)を改めて見てみます。
「土地売買の正当性については会計検査院の調査に委ねる」
争点3で明らかにしたように、記録がない前提では、会計検査院の調査は無駄です。
従って、プランは問題解決には繋がらないのでボツです。
◆争点5:プラン導入によるメリットはデメリットを上回るか?
安倍首相のプランは争点4でボツになったので、争点5の評価は不要です。
もし仮に、争点4で「問題を解決できるプラン」と認定できた場合には、
争点5で、プランを導入した際に発生するメリットとデメリットを比較し、
メリットがデメリットを上回ることを確認します。
■ミスリードの可能性
麻生財務大臣の側近である鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)氏が、
急遽、3月1日に記者会見を行いました。
鴻池事務所の「陳情整理報告書」が重要証拠と考えられていますが、
森友学園ホームページでは「事後的にねつ造された文書」と切り捨てています。
問題の本質から目をそらす為のミスリードの可能性が高いとみています。
トリックスター鴻池氏の目くらましに翻弄されないよう気をつけましょう。
五大争点はコンサルティング会社の『秘伝の法』です。
見につけたい方は是非、弊社のセミナーをお勧めいたします。
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