2017.1.27(金)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第52斬 「地殻変動の兆し」(2017年1月27日)
第52斬 「地殻変動の兆し」
2016年を振り返るとまさに激動の一年。
大きな地殻変動が顕在化した年ではないでしょうか。
どんな地殻変動があったのか、
社会・経済・国際というカテゴリーごとに振りかえりつつ、
2017年の展望をまとめていきます。
■社会
2016年、さまざまな出来事がありましたが、
ここでは「電通強制捜査」を取り上げます。
過重労働を強いられた電通社員が自殺するという痛ましい事件。
看過できないとして、当局による「電通への立ち入り検査」が行われました。
電通といえば、戦後日本においては、一貫して『アンタッチャブル』な存在。
長年、日本のマスメディアを牛耳ってきたトップ企業。
その電通のスキャンダルを多くのマスメディアが取り上げました。
思い返せば、予兆がありました。
2016年6月、文春による「東京オリンピック裏金疑惑」です。
東京五輪招致委員会がオリンピックの開催権を獲得するために、
2億3千万円の裏金を使ったというスキャンダル。
まさに「金」でオリンピックを買ったという醜悪な話ですが、
このスキャンダルに電通が関わったことが、
一部メディアから報道されました。
『なぜ、今になって電通がメディアで叩かれ始めたのか?』
ものごとには必ず「原因」と「結果」があります。
抽象的な理由づけをすれば、
『電通がかつての力を失ったから』ということになりましょう。
詳細は長くなるので割愛しますが、国民の知らないところで、
相当な地殻変動が起こっている証左といえます。
外国のマスメディアに目を向けると、
アメリカのマスメディアによる反トランプ報道にも関わらず、
米国の国民はトランプ氏を大統領に選びました。
言い方を変えると、
「アメリカ人はマスメディアの報道を鵜呑みにしなかった、
もしくは疑いをもって聞いた」
ということだと思います。
日本でも異変は起きています。
国民的番組である「サザエさん」の視聴率が1ケタになった、
というニュースがありました。
国民のTV離れを示す事例ですが、
2017年はマスメディア界が変革を強いられる年になりそうです。
■経済
世界の投資家の間で、「グレート・ローテーション(大転換)」という言葉が、
熱狂的に使われ始めています。
<参考:東洋経済記事>
http://bit.ly/2hQtJZz
グレート・ローテーションとは、
債権(国債や社債)など「安全資産」から株式など「リスク資産」へ、
大規模な資金シフトが起こる動きを指します。
アメリカ大統領選挙の後、
債権市場からは約200兆円の価値が消えてなくなり、
一方、株式市場は活況を呈しています。
一般にはあまり知られていませんが、
規模で比較すると、債権市場>>株式市場という構図があります。
・株式市場は約7000兆円の規模(1日の取引:約2兆円)
・債権市場は約14000兆円の規模(1日の取引:約7兆円)
約2倍の規模を持つ債権市場から、
株式市場への大規模な資金シフトが起こるとすれば、
世界の投資家が熱狂する理由もうなづけます。
一方、債権市場の急激な縮小が起きると、反作用もあります。
米国債などの長期金利が急上昇するという反作用です。
急激な金利上昇は、じつは、相当に大きなリスクを内包しています。
それは、金融危機の引き金を引きかねないというリスクです。
実際、2015年末の米国利上げの際、
2016年初から日本の株式市場が暴落しました。
金利と経済はとても密接な相関関係にあります。
2017年は、金利上昇による経済環境の激変、
とりわけ、世界的に有名な国際銀行の破たんに注意する必要があります。
■国際
日本でも広く報道された2つの大ニュース。
・英国のEU離脱(BREXIT)
・トランプ新大統領の誕生
近年の国際政治は、グローバル化というキーワードに象徴されます。
具体的には、EUなど国家統合やTPPなど関税障壁の撤廃を目指してきました。
しかし、グローバル化の反動として、移民問題や金融危機などが明るみにでて、
今一度、国家という枠組みを第一優先するという考え方が台頭してきています。
反グローバリズムという文脈でいうと、
欧州では極右とよばれる政党が支持を伸ばしています。
また、反米姿勢を明確にしたフィリピンのドゥテルテ新大統領の
『自国民の利益を最優先する』という姿勢が国民の支持を集めています。
いずれにせよ、グローバリズムという概念・価値に対して、
大きな疑問符がついたことは間違いありません。
2017年は、英国に続き、EUを離脱する国家が現れても、
なんら驚けない状況になっています。
2017年は、2016年以上に、地殻変動による影響が顕著になると思います。
どんな状況になっても生き抜くという覚悟をもって臨む必要がありそうです!
■正しい判断の為に
ディベートのジャッジ(判定)には様々な要素が求められますが、
私が一番大切だと思う点は、「ムードに流されない」ことです。
「空気を呼んで結論を下す」もしくは「声が大きい人の意見を採用する」
ことが常態化している企業も数多いと思います。
ですが、死活的に重要な、やり直しが効かない決定に際しては、
ムードではなく、論理的なアプローチが欠かせません。
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