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2016.5.18(水)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第45斬 「堕落する日本のマスコミ」(2016年5月18日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第45斬 「堕落する日本のマスコミ」

2016年4月3日、世界中の富裕層を震撼させるパナマ文書が公開されました。
パナマ文書とは、一言で言うと、
タックスヘイブン(租税回避地)を利用した人や企業が記載された暴露文書のことです。
暴露ものといえば、スノーデン告発やウィキリークスなどを思い出しますが、
パナマ文書は、そのデータ量で比較にならないほど巨大です。
総数1,150万件、21万4000社の企業の詳細な情報が書かれています。
タックスヘイブンのペーパーカンパニーは、
マネーロンダリング(資金洗浄)や租税回避の主要キャストです。
実際、日本の企業群がタックスヘイブンに退避している資産は数百兆円に上る、
とも言われています。
それだけ巨額の法人税が徴収できれば、税収不足は解決できるはず!
消費税も5%に戻すことができる!! 
いやがおうにも、日本政府やマスコミの取り組みに期待が高まります。
■世界中が混乱するなか、日本は、、、
パナマ文書が発表された二日後、アイスランドの首相が辞任に追い込まれました。
理由は、英領であるバージン諸島のペーパーカンパニーを利用し、
100万ドル(約1億円)の隠し投資を行っていたことが、国民にバレた為です。
英国キャメロン首相も、
亡父のタックスヘイブン資産から利益を得ていたと認めざるをえない状況に追い込まれ、
政治的に窮地に立たされています。
このように世界中の富裕層や企業を震撼させるパナマ文書。
なぜか、日本での取り扱いはあっさりとしています。
まず、菅義偉官房長官の4月6日の発言。
「日本政府として文書を調査する考えはない」
そして、政府高官の発言に追随するように、
国内最大の発行部数を誇る読売新聞は、4月10日に”匿名報道宣言”を出します。
「読売新聞はパナマ文書に記載されている日本の企業や一般個人を、現時点では匿名で報道します」
パナマ文書に記載されている企業名が少しずつ明らかにになってから、
すでに1カ月がすぎようとしていますが、
いまだに読売は紙面で一切の企業名、個人名を報じていません。
日本の主要紙では、かろうじて、毎日新聞だけが、
5月10日の記事でいくつかの企業を実名で報道している程度です。
■報道の自由度ランキング急落
国際NGO”国境なき記者団”の『報道の自由度ランキング』によると、
2010年の時点で『世界で第11位』を誇っていた日本ですが、
2016年には第72位まで急落。
肝心なことはなぜか報道されない国になってしまっている??
たとえば、
欧州版TPP条約と呼ばれているTTIP(環大西洋協定)に対して、
ヨーロッパでは大規模な反TTIPデモが起こっています。
しかし、日本のマスコミは報道しません。
秋の臨時国会に審議先送りになったTPPに飛び火しないように、
そうっとしているように見えます。
■民主主義(デモクラシー)とは
日本は民主主義国家です。
デモクラシーの語源は、ラテン語のdemos(人民)+kratia(権力)。
つまり、民主主義国家とは、
人民が権力を握り、みずから権力を行使する政治を目指す国を指します。
国民が正しく判断する為には何が必要なのでしょうか?
それは、徹底した情報開示・情報公開です。
まさしく、マスコミの使命であり、民主主義の根本を支える土台です。
日本の民主主義の土台が崩れ始めている。
そんな危うさを日々感じています。
日本では貧困層が拡大しています。
5月8日、3歳の保育園児が万引きで補導されました。
両親が借金を背負い不在の中、おなかをすかせてロールパンなどを盗んだ為です。
胸が締め付けられるような事件です。
背景には『格差の拡大』、『公的福祉の縮小』、『非正規雇用の拡大』があります。
これらの問題は一見、別々のものに見えるかもしれません。
しかし、根っこの部分では繋がっています。
それは、日本政府が富裕層や企業を優遇し、国民を食い物にしているという構図です。
非正規雇用を拡大することで、利益を最大化し、
その利益をタックスヘイブンに隠し、租税回避する企業。
税収が上がらないことを理由に消費税をアップし、公的福祉を縮小し続ける政府。
パナマ文書が暴露されてもなお、富裕層や企業を守り続けるマスコミ。
日本の民主主義の死活はマスコミにかかっています。
今こそ、国民が正しく判断できる材料を提供する使命を思い出す時です。


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