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2016.4.21(木)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第44斬 「川内原発(鹿児島県)の運転停止」(2016年4月21日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第44斬 「川内原発(鹿児島県)の運転停止」
熊本地震により被災された方々、
このたびの被害を、心よりお見舞い申し上げます。
未曽有の危機を乗り越えて頂きたいと、心からお祈りいたします。
今回のコラムでは、
日本国内で唯一稼働中の川内原発について、
ディベート思考を使って考察していきます。
原子力規制委員会の発表によると、熊本地震発生から1週間で、
約340件の川内原発停止を求める意見が届いているそうです。
住民や関係者の方々の強い不安を反映しています。 ■原子力規制委員会とは
実は、原発を止める決定権を持っているのは政府ではありません。
原子炉等規制法というものがありまして、政府とは独立して、
原子力規制委員会が判断をすると決められています。
丸川珠代環境相は、政府の見解として、
「政治主導による停止は、”原子力規制委員会の独立性を担保できなくなる”」
として、原子力規制委員会の決定を尊重するとしています。
一方、原子力規制委員会は4/18、熊本地震を受けた臨時会合を開き、
川内原発を現状では停止させない方針を決めています。
審査方法についても、「すでに今回より大きい地震を想定している」として、
見直さない方針とのこと。
■前提を疑う
”そもそも”から疑うことは、
議論を後戻りさせないために、とても大切なディベート思考の一つです。
前提が崩れた議論は建設的・生産的にはなりえないからです。
川内原発は2015年9月に再稼働しました。
再稼働の判断基準は、
”新基準にもとづいた安全対策が確認できた”
と原子力規制委員会がお墨付きを与えたことに起因します。
ここで、安全対策の中身を検証してみましょう。
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
 ◎川内原発は安全なの?(毎日まんがニュース 2015.9.1)
   http://mainichi.jp/sumamachi/news.html…
安全対策をまとめると、
敷地内の活断層がないことの確認、電源車や消防車、放水砲を配備するというもの。
しかし、火山対応については後回しにされ、現時点でも未対応です。
小規模ではありましたが、4/16(土)には阿蘇山が噴火しています。
万一、阿蘇山もしくは桜島が大規模噴火を起こした際、
「想定していなかった」という言い訳が通用するでしょうか?
前提が崩れているので、本来はこの時点で、
「再稼働 → 即時停止」という判断にならなくてはいけません。
■インパクト(大きさ)を考える
住民や国民が川内原発の運転停止を求める理由は、
運転継続によるデメリットを心配している他にありません。
端的にいえば、「九州が人の住めない場所になる」という懸念です。
このデメリットはインパクトが大きいと言えます。
 ◎インパクト = 量 × 質 × 発生確率
ここで言う”量”とは、九州の住民の数です。約1,300万人と言われています。
次に”質”とは、「住む場所、故郷を失う」ということです。
健康面、経済面、メンタル面、心のストレス、すべてにおいて、
到底容認できるものではありません。
事実として、4/20時点で、被災者避難ゾーンで11名の方がなくなっています。
最後に、”発生確率”ですが、ここがまさに重要です。
発生確率がゼロならば、インパクト全体はゼロ、つまりノーリスクとなります。
4月に入ってからの大規模災害を拾ってみました。
かなり異常な状況が起こっていることが分かります。
4/ 3(日) バヌアツ   M7.2
4/ 7(木) バヌアツ   M6.9
4/13(水) ミャンマー  M6.9
4/14(木) カムチャッカ M6.2
     フィリピン  M5.9
     チリ     M5.7
     熊本     M6.4
4/15(金) カムチャッカ 火山噴火 ※ユーラシア大陸最大の火山
4/16(土) グアテマラ  M6.2
     熊本     M7.1
     熊本     火山噴火(阿蘇山)
4/17(日) エクアドル  M7.8 ※死者575名(4/20時点)
4/18(月) チリ     M5.6
     バヌアツ   M5.9
     熊本     M5.8
4/20(水) 福島     M5.8
     エクアドル  M6.2
デメリットが発生する確率も高まっているというデータとみると、
災害リスクの再評価が必要な状況です。
■まとめ
元原子力プラント設計技術者の後藤政志さんは断言します。
「(原発の)危険性は無視できるレベルではない。」
原子力発電なしでも、電力供給に問題ないことは、日本国民誰もが経験済みの事実。
小さいメリットにこだわり、大きいデメリットに目をつぶる政府。
原子力規制委員会に責任を押し付けられるとでも思っているのでしょうか?
政治主導での、”川内原発の即時停止”に踏み切ってほしいと切に願います。


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