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2015.6.19.(金)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第33斬 「具体化と抽象化」(2015年6月19日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第33斬 「具体化と抽象化」
歴代内閣が「違憲」としてきた集団的自衛権の行使を認める、
新たな安全保障法制の関連法案をめぐってデモが起きています。
2015/6/14(日)には25,000人の反対派国民が国会を取り囲むなど、
大きな騒ぎとなっています。
そこで、今回のコラムでは、
大騒ぎの火元になっている安全保障法制の改正案について、
反対・賛成の立場からスポットライトをあてていきましょう。
■反対派が反対する理由
反対デモでは以下のようなプラカードが掲げられていました。
 「戦争法案成立反対」
 「安倍政権の暴走止めよ」
 「若者を戦場に送るな」
これらのメッセージは具体的でわかりやすい反面、
同じことを繰り返しているにすぎません。
論理的には、これらのメッセージをひとまとめにすることができます。
 「将来の懸念(=将来戦争に巻き込まれる危険性)」
『まとめる』という作業を「表現の抽象化」といいます。
「具体」<-->「抽象」という対比表現を自由につかいこなすことで、
『ああ、あの人の話は分かりやすい』となる訳です。
■集団的自衛権の行使は憲法違反か?
一方、憲法学者からは軒並み異議が唱えられています。
朝日新聞によると、2015/6/4(木)に開かれた衆院憲法審査会にて、
自民党など各党の推薦で参考人招致された憲法学者3人が、
新たな安全保障関連法案について、
いずれも「憲法違反」との見解を示したそうです。
さて「憲法違反」とはどういうことでしょうか?
表現が抽象的過ぎてわからない場合には、「表現の具体化」を行うことで、
より分かりやすい形に落とすことができます。
例えば以下の通りです。
「日本国憲法では、憲法第9条1項で戦争・武力行使が禁じられ、
 9条2項では『軍』の編成と『戦力』の不保持が規定されている。
 集団的自衛権を認める例外規定がない為、憲法違反となる」
このように「表現の具体化」を行うことで、憲法第9条の規定の中に、
例外規定がないことが問題になっていることが分かります。
■賛成派が賛成する理由
賛成派筆頭である安倍内閣は、憲法解釈を変更し、
集団的自衛権の行使を一部認めることの正当性を以下の通り述べています。
 「近隣では、弾道ミサイルを持ち、核兵器を載せる能力を開発している」
 「その時々の内閣が、必要な自衛の措置とは何かを考えるのは当然だ」
具体的なのか、抽象的なのかわからない理由です。
このような場合には、まず抽象的な概念で括ると話が整理できます。
 「現在の危機」
その上で、「表現の具体化」を行うと、
以下のような問題が浮き彫りになります。
 「北朝鮮による核開発が次回の実験により、実用化の目途がたちそう」
 「ここ20年、中国の軍事費が驚異的な伸び率を記録し続けている」
 「中国は領土問題が残る南沙諸島を埋め立てて、軍事施設化すると明言している」
大切なのは、「具体」と「抽象」の間を行き来することだと分かります。
「具体」と「抽象」を使いこなすポイントは、
「同じことを表現する」ということです。
つまり、「具体」=「抽象」という方程式になっていなくてはいけません。
違う内容を混ぜてしまうと、議論が分かりづらくなります。
例えば、以下のような関係です。
 抽象表現:「現在の危機」
 具体表現:「米国はいずれ覇権国家の地位を失い、日本の安全保障に支障がでる」
イコールの関係になっていないことに注意しましょう。
現在の話をしているのか、将来の懸念の話をしているのかが、
見えづらくなってしまいます。
■まとめ
ここまで、反対派と賛成派の大まかな立場の違いを説明してきました。
まとめると、以下のような構図となります。
 反対派(将来の懸念)<---> 賛成派(現在の危機)
抽象的な概念の対立構造が見えました。
ここで議論を噛み合わせる為に不可欠なことは、
お互いに「具体化」していくことです。
(もしくは、具体化する為に、徹底的に質疑応答をすること)
違憲論については、「現行法体系は無理がある」という指摘ですので、
『改憲が前提になる』という認識で良いでしょう。
議論を整理する術として、「具体化・抽象化」を見てきました。
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