2014.7.24.(木)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第20斬 「相手の懐に飛び込むコツ」(2014年7月24日)
「相手の懐に飛び込むコツ」
皆様、こんにちは。
私事で大変恐縮ですが、仕事でイギリスに来ております。
ロンドンといえば、金融の中心地。
多くの国から人間が集まる多国籍な土地でもあります。
日本人がよく間違えやすいことの一つとして、
イギリス = England(イングランド)
という誤解があります。
イギリスの正式名称は『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国』になります。
つまり、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド、
4つの国から構成される連合王国ということです。
したがって、英語でEngland(イングランド)というと、
連合王国の一部のみを指すことになってしまい、
聞いている相手の立場にたつと、
なぜイングランドに特化しなくてはいけないのか?
という疑問を抱えたまま会話が進行していくことになります。
通称イギリスを海外で英語で言う場合には、どう言うのが良いでしょうか?
一般的には、UK(ユー・ケイ:United Kingdomの略)が良いです。
イギリスは連合国家、という認識があれば、
イギリス人に出身を尋ねる場合には、どの国か確認するべきでしょう。
10年来の友人に、ウェールズ出身のイギリス人がいますが、
ウェールズ人としてのアイデンティティ(固有性)に拘っているフシがあります。
彼によると、保守的なウェールズ人は、
まがい物ではない本物のエール・ビールを出すバーで、
仲間とラグビーの試合を見るのが一番の娯楽とのこと。
イギリス人=「サッカー」というイメージで捉えがちですが、
「サッカー」よりも「ラグビー」の方が人気がある地方もあるので、
ステレオタイプ的に人種を分類するのはもったいないと思います。
ちなみに、前述したウェールズ出身の友人には、
「本物のエール・ビール」を出すバーに連れて行ってもらったのがキッカケで、
とても仲良くなることができた経緯があります。
相手がどういう環境で育ってきたのか?
どういう価値観を大切にしているのか?
相手にとって、どんなことがタブーにあたる言動なのか?
バックグラウンドが違う人種が集まる場では、
このあたりを、しっかりと確認した上でないと、
一方的に、こちらの言い分を通すのはとても危険です。
私は外国人の友人を多くもっています。
コツは相手の懐に飛び込むこと。
バーニングマインドが提唱するネオ・ディベートでは、
「相手を受けること」を大切にしているとお伝えしてきました。
相手を受けるには、相手を主語にして話を組み立てると、
多くの話を引き出すことができます。
例えば、前述した友人(リチャードといいます、以下リチ)に対して、
会って間もない時、私は以下のような形で会話をした記憶があります。
私:リチャードの生まれは、UKのどこなの?
リチ:ウェールズさ。
私:リチャードはいつまで、ウェールズにいたの?
私:大学までウェールズで、その後ロンドンで就職したよ。
私:リチャードの地元の友人もみんなロンドンに行ったの?
リチ:そんなことはない、ウェールズで就職する奴がほとんどだ。
私:リチャードはたまには、ウェールズ帰るの?
リチ:最近は出張が多くて帰れてないけど、2年に1回は帰って友人に会うよ。
私:そのときは今日のように、アホみたいに飲むのかい?
リチ:もちろんだよ!!
上記例から分かることは、
「あなたは~」という形で質問を重ねることにより、
多くの情報を引き出すことができ、結果として、
相手の価値観に触れることができるということです。
リチャードが、地元であるウェールズをこよなく愛していて、
地元の友人とわいわい飲むのが好きな陽気な気質であり、
仕事の関係で世界を飛び回っていることが分かります。
重要なポイントなので繰り返しますが、
「相手への興味・関心をもつこと」+「相手を主語にする」
これだけで、短時間に多くの情報を引き出せます。
後は、引き出した情報をもとに、共感を深めていくだけです!!
「相手を主語にする」テクニックについては、
バーニングマインド・理事を務める太田龍樹の著書
『話し方にもっと自信がつく100の法則(中経出版)』
◆法則73:相手を主語にして話すと心の距離が近づく
の項目で詳しく解説されていますので、
是非、こちらもご覧になって頂き、
多くの人の共感を得る材料にして頂きたいと思います。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました!!