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2014.3.20.(木)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第14斬 「リーダーシップ論(その2)~効果的なメッセージの伝え方~」(2014年3月20日)

ほぼ月イチコラム ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼します」 第14斬

「リーダーシップ論(その2)~効果的なメッセージの伝え方~」


皆様、こんにちは。

少し前の話となりますが、
関東地方全域を襲った記録的な大雪が襲った2度の週末、
各地の交通網は麻痺し、特に山梨県など甲信越地方では「陸の孤島」状態が発生、
死者23名、被害額70億円を超える大災害となりました。

山梨県の孤立が続く中、安倍首相は赤坂で高級天ぷらを食べていたということで、
非難の声が上がっているとのニュースもありましたが、
こうした自然災害の際にはいつもにも増してリーダーの動きは注目され、
「その時」にどう過ごしていたか、どう対応したかが後にも続く話題になります。

『高級天ぷら』の是非は脇においておいたとしても、
「首相の指示で古屋圭司防災相がしっかり対応している」
という後追いの釈明に追われるくらいならば、
「首相を中心として問題の解決をめざしている」というメッセージ発信を積極的に行って、
リーダーシップを示す機会として活用した方が良かったと思います。

多くの場合、リーダーは非難の声にさらされます。
混乱の中、人々はストレスから不満の矛先を責任者に向けるからです。
そうした非難を避ける為には、リーダーが率先して発信できるかがポイントとなります。

リーダーによるメッセージ発信に関して、とても参考になる事例があります。

米国のある私立学校が雪のための休校を知らせるYouTunbe動画を公開して、
大きな注目を集めました。

Durham Academy Weather Announcement


校長と副校長がラップのリズムにのせて休校を伝えています。
具体的な指示に併せて、学生への愛情あふれるメッセージが、
とても効果的なコミュニケーションになっています。

歌詞は以下の通りです。

――
 よく聞きなさい。道路が凍結し、風も強まる。
 電気が止まるかって? それは分からない。
 温かくして過ごしなさい。

 状況がひどくなる前に雑貨屋に行って電池を買っておいで。
 道路も滑りやすくなるから気をつけて。
 こんな日は家にいて温かい紅茶でも飲むことだ。

 心配するな子どもたちよ。学びは何も失われはしない。
 EvernoteもMoodleもVeracrossもある。
 もし問題があればグレッグ先生に相談すればいい。

 氷が解けるのを待っている間、本を読もう。

 氷だ氷だ、休校だ。氷だ氷だ、休校だ。
――終わり


このYouTube動画では、
リーダーがメッセージ発信する際に留意すべき、
2つのポイントが押さえられています。


ポイント1)情報の受け手を強く意識している
ポイント2)哲学に裏打ちされている


まず、ポイント1(情報の受け手を強く意識している)ですが、
情報の受け手は学生という点を踏まえ、
学生にとって身近な存在である「音楽」という手段を用いています。
これが、通常の伝達手段(例えばメール)であったとしたら、
訴求力はもっと低いものになっていたはずです。

大雪のタイミングでは、多くの国民は自宅に閉じ込められている状況でしょうから、
NHKの緊急放送など、テレビ・ラジオを通じたメッセージ発信が望ましいと言えます。
また、スマートホンが広く普及した昨今、LINEを通じた緊急連絡も有力な手段です。

ビジネスの現場でも、情報の受け手を意識する必要があります。
例えば、個人の金融資産を運用・管理する某企業では、
顧客の中心が高齢者であるという点に着目して、
毛筆を使った手書きの手紙を使って、
営業マンを印象づけるアプローチ手段としています。


続いて、ポイント2(哲学に裏打ちされている)ですが、
具体的な指示のウラには、
「学生の安全が再優先」「学びの場は無限」という哲学が裏打ちされています。

休校という情報に加えて、
休みの日の過ごし方・勉強法を示唆する内容になっています。
聞き手を勇気付けるメッセージを送ることができるリーダーに対して、
学生たちの感謝・尊敬が集まるのは必然でしょう。

バーニングマインドが提唱するネオ・ディベートにおいて、
「哲学」とは主張の根幹をなすもの、拠って立つ軸を差します。
揺るぎない「哲学」を持つことで、主張に一貫性が生まれ、
説得力がアップします。

「哲学」の詳細については、
バーニングマインド・理事を務める太田龍樹の著書
『ディベートの基本が面白いほど身につく本(中経出版)』
で詳しく説明されているので、参考にして下さい。


最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました!!

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