2015.2.20.(金)
アビコ青年のネオ・ディベート事件簿
File29「流暢に話せても伝わらない現実」(2015年2月20日)
本日のテーマは「流暢に話せても伝わらない現実」です。
先日、会社の後輩から仕事帰りに飲みのお誘いを頂きました。最近、同じチームに異動してきた彼は、とても仕事熱心で真面目な性格。彼が新入社員の頃に私と同じチームだったこともあり、色々と相談をもらう機会があります。
今、その彼が抱える悩み。それは、一生懸命仕事をしているつもりなのに、どうにもお客様と会話がかみ合わないこと。自分が伝えたい話が思うように伝わっていない。そんなことが続いた末の相談でした。
彼は間違いなくナイスガイです。その上で、以前から一つだけ気になることがありました。それは「会話の途中で、相手の話を遮る癖がある」ことでした。
上司・同僚との会話でも、得意先のお客様との会話でも同じです。ある程度話を聞いたら、相手の話に言葉をかぶせて話し出す習慣がありました。これでは相手も「もうこれ以上は話したくないな」と不快な気持ちになってしまいます。彼自身にはその自覚はなくても、「はいはい、もう言われなくても分かってますよ」という意思表示になってしまうからです。
500社以上の会員企業を指導する「中小企業のカリスマ」、株式会社 武蔵野の社長・小山昇氏は言います。「『話し上手』とは、決して流暢に話す人ではない。むしろ、相手に警戒心を抱かせるだけ。」「多少たどたどしくても、お客さんの疑問にきちっと答え、困っていることに解決策を提示できる人の方が信頼されるんです。」
ビジネスの達人・小山社長が強調します。
「ビジネスでは相手が必要としている情報を的確に提供できる人を『話がうまい』というのであって、単にペラペラしゃべれるから話し上手なのではない。」
これは一言で言えば、「どれだけ相手の本心を聞き出せるか?」、つまり「話す」前に「聞くことありき」ということです。
コミュニケーション力に関する大きな誤解の一つに「流暢に話せるのが話し上手」というものがあります。でも、会話は相手とのやり取りで成り立ちます。一方的に流暢に話したところで、それでは相手と心を通わせた真のコミュニケーションではありません。
興味深いのは、小山社長は社員との酒席を年間56回も設けていることです。社長と飲むのは気まずいということはなく、むしろ大好評。そこでも気をつけているのが、社員の話を「途中で遮らずに最後まで聞く」こと。社長風を吹かせて演説したり、結論を急いで話を遮れば不正確な情報しか得られないからです。話すこと以上に聞くことの大切さを、社長自ら実地で伝えているそうです。
先ほどの後輩にこの話を伝えたところ、実は以前の上司にも同じ事を指摘されていたと教えてくれました。そして、人の話を遮らずに最後まで聞く、改めてその意識を高く持つと語ってくれました。
「話し方にもっと自信がつく100の法則」(太田龍樹著 中経出版)では、「聴くことの大切さ」を徹底して紹介しています。どれも会話のヒントが満載です。ぜひご参照下さい。
以上、アビコレポートでした。
※「話し方にもっと自信がつく100の法則」(太田龍樹著 中経出版)参照法則
法則17「コミュニケーションは情報収集から始まる」
法則52「話し方が一流の人は聞き方も一流」
法則53「『受けの美学』が聞き上手への近道」
法則54「会話はすれ違って当然と考える」
法則63「『決めつけ』を排除すれば説得力が増す」
等々 s