2015.1.16.(金)
アビコ青年のネオ・ディベート事件簿
File28「自分の長所をベースに積み上げる」(2015年1月16日)
本日のテーマは「自分の長所をベースに積み上げる」です。
自分の意見をはっきり言えるアメリカ人。
それに比べて、どこか控えめな日本人。
そんな漠然としたイメージが私にはありましたが、その印象をくつがえす本がアメリカでミリオンセラーになりました。原題「Quiet(静けさ)」、邦題は「内向型人間の時代」(講談社)です。著者のスーザン・ケイン氏は内向型の性格で、外向型を賞賛するアメリカ社会に疲れて弁護士からライターに転身した方です。
スーザン氏によれば、ビル・ゲイツやアル・ゴア、ガンジーも内向型だと分析しています。
内向型の定義は、思慮深くて理性的、真面目で謙虚、孤独を求める「熟考の人」。
対して外向型は、明るく社交的で目立ちたがり屋の「行動の人」と定義します。
外向型は明るくて人付き合いもいいから、それが優れた特性であることは言うまでもありません。一方、内向型はどこか快活さが足りない印象のせいか、どちらかといえばマイナスイメージもあります。
ですが、内向型は外向型にはない優れた面があると指摘します。修士号や博士号を取得する人数は内向型の方が多い。それはIQの問題ではなく、課題に対する取り組み方の違いにあります。つまり、物事を注意深く考え、行動する前に熟慮し、簡単には諦めず、より正確に作業を進める特性が強みです。そう考えれば、内向型も日常で大きな武器になるのです。
例えば、人間関係に悩みを抱えることは誰にでもあります。そんな時、内向型の人は「もっと明るくならなくては…」と、今ある自分を否定してしまいがちです。もちろん、明るさは大切ですが、内向型の良さにも目を向ける必要があります。内向型は話し好きではなくても、そのぶん相手の話を「じっくり聴く」ことに長けている場合もあるのです。
コミュニケーションでは「話し方」も大切ですが、同時に「聴き方」も大切です。人は自分の話を聞いてもらえる相手に好感を持ちます。なぜなら、自分に関心を持ってくれていると感じられるからです。(「話し方にもっと自信がつく100の法則」(太田龍樹著 中経出版)法則52参照)
ですから、内向型であることを全否定するのはナンセンス。自分の強みをベースにして、その上に新たな要素を積み上げていけばいいのです。
じっくり人の話を聴ける人が、今よりもっと感情豊かに相手の話を聴けたら最強です。あいづちを入れながら、楽しさや真剣さを表情でも伝える。もっと詳しく教えて欲しい気持ちを、質問をして伝える。大切だと思ったらメモを取る。そんな小さな積み重ねをじっくり話を聴ける人が実践したら、コミュニケーションは間違いなく改善しているはずです。
トリックアートと似ていて、物事は角度によって見え方が変わります。内向型にも外向型にも、長所と短所があります。だからこそ、お互いの長所を認めた上で、新たな要素を身につけていけばいいのです。
今年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」。劇中に登場する吉田松陰は「人の長所を見つける達人」だったそうです。人の長所を見つけられる人は好かれます。実際に、松陰の周りにはたくさんの若者が集いました。
まじめな内向型の方は、もしかしたら「自分の長所を見つけるなんて恥ずかしい」と思われるかもしれません。でしたら、身近な方の良いところを見つけてみてはいかがでしょうか?そして、それとなく相手に伝えられたら、きっと喜んでもらえるはずです。こんな会話がきっかけで、コミュニケーションの輪が広がっていくことも珍しくありません。
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以上、アビコレポートでした。