2014.7.20.(日)
アビコ青年のネオ・ディベート事件簿
File20「話し上手は、聴き上手」(2014年7月20日)
本日のテーマは「話し上手は、聴き上手」です。
第18回コラムでもご紹介した、MBS毎日放送の「情熱大陸」プロデューサー・福岡元啓さんは、その活躍ぶりから取材を受ける機会が増えています。
ただ、今でこそ脚光を浴びる立場ですが、入社してからしばらくは日の目を見ない毎日を過ごされていたそうです。だからこそ、一つ一つの現場でしっかり学んだことを、その後の仕事に役立て成功された軌跡が参考になります。
最初はラジオ番組のディレクターとして、社会人生活をスタートさせた福岡さん。出演者とのやり取りから、コミュニケーションにおける心理的な側面を学んだそうです。具体的には、「話の聴き方が、いかに話し手の心理に影響を与えるのか」ということです。
「自分が収録スタートの合図を出して、ブースの中で出演者が喋っている時に『うん、うん』って頷きながら話を聞くこと。話が面白かったら、ガラスで隔てられたブースにいる出演者にも、笑っていることが分かるように手を叩いて笑うこと…これだけで、喋っている出演者は気持ちが乗って、さらにパフォーマンスが上がるんですよね。」
私もラジオ番組は好きで、学生の頃からよく聴いています。番組ディレクターや放送作家が、パーソナリティの冗談にオーバーリアクションで応えている「声」や「身振り手振り」(手を叩く音等)が、明らかにパーソナリティを盛り上げているのがよく伝わってきました。ラジオの音を聴くだけで、放送局のブースの雰囲気が明るくなっているのが目に浮かぶものです。(ラジオ好きな方なら、「コサキン」や「深夜の馬鹿力」と聞けば、「ああ、あのことか…」と合点がいく方も多いかと思います)
よく「コミュニケーション上手な人」と言えば、「話すこと」が上手な人と思われがちです。でも、実際には話すこと以上に「聴くこと」の方が重要です。
「話し方にもっと自信がつく100の法則」(太田龍樹著・中経出版)には、法則52「話し方が一流の人は、聞き方も一流」と紹介されています。人間心理として、人は話をしたい(自分の話を聞いてもらいたい)という性質があるからです。そのため、自分の話をきちんと聞いてくれる相手に対して、人は自然と好意を持つものです。
同時に、しっかり相手の話を聞けるからこそ、相手も自分の話をちゃんと聞いてくれるようになります。結果として、お互いに円滑なコミュニケーションを交わすことができます。
小説家の吉川英治さんは、「上手なあいづちは、人の心の真実を汲みだす誘い水である」と指摘されています。つまり、相手の話を意識的に聴いている姿勢を、きちんと相手にも分かるように伝えることは効果的です。
例えば、姿勢・視線・あいづち等々、ビジュアルにまつわるものは大切です。もちろん、表面的に繕うだけでは心が入りませんから、相手のお話をまとめる、疑問点があれば質問することが肝心なのは言うまでもありません。
数々の著名人を前にして、その心の中を克明に描き出す番組、情熱大陸。相手が心を開かなければ、決して番組は成立しません。福岡さんは「カメラが回っていない時も含めて取材です。その時は、取材対象とディレクターが心の距離を縮めるための時間なんです」と話しています。一方的に聴きたいことを聴いても、いきなり核心に迫ることは話してくれません。だからこそ、しっかり話を聴いて、人間関係を深めていく必要があるのです。
話の「聴き方」も重点的にトレーニングできるネオ・ディベート。「使えるディベートセミナー」では、実践トレーニングを通じて「良い聴き方」と「悪い聴き方」双方を体感することで、机上の空論に終わらせない本物の傾聴力を習得できます。現在、第12期生が模擬ディベートに向けて奮戦中です。相手の主張をきちんと聴ける(受ける)からこそ、的確な反論も繰り出せる。日常では経験できない空間だからこそ、集中して学べるものがあります。第13期の詳細は、弊社ホームページをご参照下さい。
以上、アビコレポートでした。