2014.4.3.(木)
アビコ青年のネオ・ディベート事件簿
File15「相手を知るための武器二つ(その2 拡大質問)」(2014年4月3日)
アビコ青年のネオ・ディベート事件簿 file15
本日のテーマは「相手を知るための武器二つ(その2 拡大質問)」です。
「上手なあいづちは、人の心の真実を汲みだす誘い水である」—吉川英治(小説家)
前回までのコラムでは、質問する時のポイントをお伝えしてきました。
相手の心理的なストレスに配慮して、始めは答えやすい質問から始めて、徐々に踏み込んだ質問をするように心掛けます。いきなり核心を突く質問をされたら、相手はびっくりして心を閉ざしてしまいますからね。
質問の内容は、段階別に3つご紹介しました。
①「人間的側面に関する質問」
②「現状分析質問」
③「問題発見質問」
②では[限定質問]の種類と、その使い方をご紹介しました。
本日は最後の③「問題発見質問」をご紹介します。
前回、新入社員の悩み事相談を例にお話ししました。限定質問で確認した結果、彼の置かれている現状が分かりました。どうやら新入社員の彼は、お客様との関係に悩みを抱えているようです。
この時点では、先輩はまだアドバイスができません。新人にとって、今どんな言葉や協力が必要なのか、漠然としていて分からないからです。
そこで、③「問題発見質問」のレベルに質問をシフトします。ここで有効なのが「拡大質問」(2W1H)です。
◆What do you think[do](どう思う[する])
◆Why(どうして)
◆How(どうやって)
「[そうか、お客様との関係で悩んでいたんだね。]
どのお客様との関係で悩んでるの?」(Who)限定
⇒はい、担当先のX様です。
「[X様か、とてもまじめな方だよね。]
どうして悩んでしまうことになったの?」(Why)拡大
⇒言いにくいんですけど…実はアポイントのお時間に
大幅に遅刻してしまったんです…。
それ以来、会ってくれなくなってしまったんです…。
「[そうか、遅刻は信用を失うからな…]
でも、温厚なお客様だし、たった一度の遅刻で、
そこまで関係もこじれない気もするけどな。
どうして、会ってくれなくなったんだと思う?」
(Why)(What do you think)拡大
⇒色々考えたんですが、思い当たるのは
[事前に遅れる旨、電話でご連絡していなかったこと]、[翌日以降、アフターフォローでお詫びのご挨拶をしていなかったこと]が無関係とは思えません。
「[なるほど、きちんと誠意が伝わってないかもしれないね。]
悩んでいてもお客様は許して下さらないから、
これからどうやって信頼回復しようと思う?」(How)拡大
⇒はい、会って頂けない以上、まずはお手紙を書こうと思っています。
「[それは良いね。いきなり押し掛けて行っても、かえって失礼だからね。]
その後は、どうする?(What do you do)拡大
⇒その後は……う〜〜ん…。
「例えば、お電話でもう一度アポイントのお願いをするのはどうかな?もちろん、用件は仕事ではなくて、お詫びをさせてもらうために頂く。その時は、上司にも相談して、同行してもらうと誠意が伝わるかもしれないよ。」
⇒なるほど!仰る通りです。早速、上司にも相談してきます。ありがとうございます。
実際には、もっとたくさんの質問を交える必要があるかも知れません。いずれにしても、その方向性(質問内容①⇒②⇒③)と、質問の種類(限定質問と拡大質問)を意識することは同じです。
先輩が後輩の求めている解決策を提案できたのは、質問によって後輩を取り巻く状況を明らかにできたからです。ここが出来ないままだと、的外れなアドバイスや、場合によっては精神論で片付けてしまうことになります。
ぜひ、日常生活の中でも相手を知るための武器[限定質問と拡大質問]を試してみてください。実践での訓練が、上達への近道です。「必要に迫られていて時間がない!少しでも早く身につけたい」という方には、弊社の「使えるディベートセミナー」が大変効果的です。ワークを駆使した3日間の実践型セミナーで、コミュニケーションの型を集中して身につけることができます。
ただいま、第11期生(4月12日(土)開講)を募集中です。新年度のチャレンジとして、一緒にネオ・ディベートを学んでみませんか?
http://www.burningmind.jp/debate_seminar/
以上、10℃の水戸から、アビコレポートでした