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2016.5.16(月)
ひろ☆たかさわのディベートちょっといい話
第156回 「演出家の蜷川幸雄さん」(2016年5月16日)

週刊コラム 時事ネタをネオ・ディベートで紐解く
ひろ☆たかさわの ディベートちょっといい話  第156回
こんばんわ
演出家の蜷川幸雄さんが
亡くなった。80歳だった。
埼玉県・川口市に生まれ、幼少期を過ごし
開成高校卒業後に芸大受験に失敗。
役者のみちをこころざすも、
数々の挫折を経験。
33歳で演出家に転向。
ギリシャ悲劇やシェイクスピアに日本的美意識をとりいれ
「世界のニナガワ」といわれるまでになった。
罵声を浴びせ、灰皿を投げるという
スパルタ指導は有名。
19歳で主演に抜擢した寺島しのぶさんに
「おまえはブスなんだから、誰もが黙る演技力をみにつけろ!」
「おまえなんか死んじゃえ!!」
反発もあったと思う。
古典作品から現代劇まで幅広くてがけ
いまでも多くの若手俳優から支持をされる。
人間の価値って葬式でわかるわよね。
スパルタで恫喝してものを投げるのは
やろうと思えばできるかもしれない。
でも、その裏にある信頼関係は
説明のしがたいものがある。
蜷川さんは、俳優としての実績はほとんどない。
でも、そんな蜷川さんの熱血指導についていこうという
素直な心は、
「このひとについていけば、なにか変えてくれる」
そんな想い
ビジョンを示し、合理性のある指導を徹底的に行ったのだけど
理屈で説明できるものではない。
本当にトップを目指す教育というのは、
常識をこえ、距離感もあり、
その無償の愛は、
あとになってみないとわからないものだから・・・
そして、それを受けるほうは、
その熱量に圧倒されながらも
受けとめ、成長し、ひとつうえに昇ろう、壁を打ち破ろう
そういう素直で熱いこころをもっていなければならないわ。
「『古典舞踊』を知らずに大成した役者はいない」と
徹底的に勉強させた。
強い言葉の響きやテンポにこだわり、
どなりながら何度もできるまで、納得いくまで反復させた。
「普通の役者にはこんなこと言わないんだよ。」
と、鼓舞させた。
後進を育てることにも重きをおいた。
体調を崩してからも
一線を退く様子など微塵もなく、
最後まで現場で指揮をとっていた。
だけど、
どんなに知識や技術は伝えられても
そのなにかを変えよう、作り上げようという熱量は、
生まれ持ったものでもあり、
こんな人がそんなに簡単にでてこないとも思う。
演劇とは
舞台演出と、ひとりひとりの役者でなりたっている。
いつの時代にも変化に敏感で、
拍手喝采の劇場にできる想像力が必要。
その役者を育て、つなげ、 コーディネートする。
自分ではできなかった舞台演劇を
演出という形で実現して、
世界にかけがえのない財産をのこし
数多くの俳優から
「このひとに育てられた」と言われてこの世を去った蜷川さん。
ご冥福をお祈りいたします。
それでは また
BY ひろ☆たかさわ

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