講評

講評

論題

ネオディベート・ブートキャンプ 第2シーズン
第3回講義(2013年10月6日開催) A面第一試合
「論題:日本は出生前診断に基づく人工妊娠中絶を容認すべし」

講評:高澤 拓志

肯定側:ディベーターKI / ディベーターHK
否定側:ディベーターYO / ディベーターTU
【試合結果】:肯定側勝利
肯定側 1票 vs 否定側 1票(ジャッジ2名による合議、総得点による)

■<肯定側立論/ディベーターHK>
哲学)幸せ追求の権利
M1)親の幸せ追求権
M2) 障害者の経済的・精神的負担
M3) 判断材料として有用

母親の今後の人生を決定する権利「リ・プロダクティブライツ」に最も重きを置き、
メリット3点にまとめた。


M2では、経済的な側面として
平均月収が健常者27万円たいして障害者は11.8万円、
精神的負担として、偏見差別があると答えたいひとが89%というアンケート結果をだした。

M3では、この出生前診断が詳細で明確なことを論証し、
母親も生命を軽んじることなく、覚悟をもってうけていることを訴えた。

■<否定側尋問/ディベーターYO>
テンポを欠いたものになってしまった点が悔やまれる。
質問の意図を明確にし、カテゴライズすべき。


質問としては的を射たものもあったが、
「胎児に人権はあるのか?」⇒「22週以降なら」のやりとりが
勝敗を分けることになる。

この重要な論点について、そこで終わらずに食い下がっていくべきだった。

■<否定側立論/ディベーターTU>

哲学)切りすててよい命はない
D1)胎児の生きる権利
D2) 障害者差別になる
D3)母体へのリスク

D1では、生命倫理についてまとめ、人為的な中絶、命の平等性を説く
D2では、中絶する自体がことが障害者差別になること
D3では、慶応大学の証拠資料を用いて、流産の危険性や子宮外妊娠のリスクを主張

論拠と証拠資料はしっかりしており、
また胎児の命をなぜ重んじるのかの理由が出ているところは、
この論題の意図をしっかりくんでいるものと評価できる。

■<肯定側尋問/ディベーターHK>
胎児に人権が認められるのか?
また、親に決定権はないのか?
という核心の質問があり、
そこは、生命倫理による命の平等性という哲学を
否定側は貫いた形となった。

■<否定側反駁/ディベーターYO>
障害者への負担の反駁
・政府の補助、障害年金がある
・親は負担に感じていないという実例
また、母体へのリスクについて
再度、羊水検査のリスクを主張

■<肯定側反駁/ディベーターKI>
精神的・経済的負担については
読売新聞の記事を用い、夫との意見相違による無理心中なその例を挙げる。
また、母体へのリスクは出生前診断が原因ではないとする。

■<否定側最終弁論/ディベーターTU>
争点を
1)親の権利と命の平等性
2)経済的精神的負担について
3)診断の有用性とリスク

うまくまとめてくれたが、
比較考量の部分で否定側が上回るという部分のアピールを、
議論をまとめなおすという形でするとよかった。

■<肯定側最終弁論/ディベーターKI>
・胎児の人権の定義が22週であることを再確認
・障害者のサポートは、親がいなくなったらできない
・診断のリスクはわかっているが、それも本人の選択である
以上をまとめて最終弁論を終えた。

■<総括および判定>
肯定側の勝利。
各争点はお互いよく論証し、ほぼイーブンであったが
一番大事な争点である胎児の権利について
22週前は無いとする肯定側の主張を覆せなかった部分が勝敗を分けた。
否定側は、生命倫理の部分を立論で詳細に訴えるなどの工夫がみられたが、
もう一歩のところで敗れた。

肯定側・否定側ともに最後まで、かみあった議論を戦わせた、
とても見ごたえのある試合であった。

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