講評

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論題

BMニューディベートフロンティア2005 タッグ巴戦 第2試合
「日本政府はデノミネーションを実施すべし」

講評:本間賢一

肯定側:奥山真・井上晋
否定側:久保田浩・中村貴裕
【試合結果】:肯定側勝利
ジャッジ総数10名
肯定側 7票(55.51P) 否定側 3票(50.58P)

■<概   略>
肯定側は、円の国際化・人心一新・経済効果という3点のメリットを主張。
対する否定側は、デノミは、国民・企業の負担と混乱をまねくというスタンス。
拮抗した試合展開となったが、肯定側がわずかにメリットを残し、肯定側の勝利となった。

■<肯定側立論>
◇哲学・理念:『デノミによる円の国際化』
◇プラン3点:
 ┣①2006年より、1/100デノミを実施
 ┣②負担がかかる特定業種に特別融資1兆6千億
 ┗③インフレ・デフレ対策
   (事前の周知や便乗値上げの禁止など)
◇メリット3点
 ┣①円の国際化の推進
 ┣②人心一新
 ┗③経済効果

M1は輸出入における円建て決済が少ないというデータのもと、円の国際化がなされていないという現状分析を行う。さらに、その理由はドル対円の比較が難しいからだと述べる。さらに重要性としては、日本(通貨発行益と為替リスク軽減)アジア(同タイムゾーンでの取引)世界(国際通貨体制の安定)と3者の立場から述べる。
M2はアメリカに不利益をもたらす政策を実施することで日本独自のアイデンティティーをもち、アジアのリーダーになっていけると主張。
M3は経済波及効果を主張。

■<否定側尋問>
否定側は尋問で、M1の発生過程に突っ込んでゆく。
肯定側は前提条件を整えると回答。否定側はより詳細を突っ込んで欲しかった。
また、通貨発行益については、否定側からのインフレとの兼ね合いの質問に対して、肯定側から明確な回答はなかった。

■<否定側立論>
◇哲学・理念:『企業と国民に混乱を招くデノミは実施すべきではない』

◇デメリット3点
 ┣①コスト負担
 ┣②通貨の機能低下
 ┗③混乱を招く

肯定側への反論としては、
M1エビデンスをもとに、円の国際化がなされないのは、他に要因がり、デノミがされていないからではないと主張。
M2については、中国の存在のため、リーダーになれないと主張。
M3については、影響が限定的だと述べる。
D1については、企業に負担をかけることで、IT投資が遅れるという重要性を打ち出す。
D2については、円の単位で一元管理できる現状から単位が分かれることで通貨の機能が落ちると主張。
D3切り替え時に金額を間違えるリスクを指摘した。

■<肯定側尋問>
国際化はいいことか否かという肯定側の問いにデメリットが発生するから駄目だと否定側は回答。肯定側は国際化事態の是非を問うているのに対し、否定側はそこに乗っていけない印象を受ける。
「財政について、日本政府が対策を立てているか?」という問いにたいしても、「現状で財政は悪化している」と質問に答えていない場面があった。
当たり前のことだが、質問にトピカルに答えないと尋問パートは成り立たず、ここは否定側にとってマイナスポイントとなった。

■<否定第一反駁~最終弁論>
M1については、財政状態の悪い現状では、円の国際化は実現できないという否定側に対し、肯定側は、前提条件としてインターフェースを揃えておくことが大事だと主張。ここでは、ビデオの規格などを例にわかりやすく規格を合わせることの重要性を主張した肯定側に若干、利があった。
M3経済効果とD1企業の負担は相殺された。否定側はD2,D3を定量化できず、さらに推定でもさほど大きいデメリットではないと判断されたため、M1を残した肯定側の勝利となった。

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