講評

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論題

BMニューディベートフロンティア2005 第1試合
「社会人ディベート団体BurningMindはNPO法人化すべし」

講評:本間賢一

肯定側:久保田浩・中西夏雄
否定側:奥山・中村雅芳
【試合結果】:否定側勝利
ジャッジ総数18名 肯定側6票(53.46P) 否定側12票(60.30P)

■<肯定側立論>
◇哲学・理念:『エンターテインメントディベートの啓蒙・普及活動を継続的に行う』
◇プラン1点:
┗①NPO法人格を取得する
◇メリット3点
┣①社会的信用度の向上
┣②資金調達方法の幅が広がる
┗③契約時の利便性向上

①に関してはアンケート結果を元に、信頼性の向上を主張する。
②は受講料の取得
③は教育などを請け負ったときの手続きが楽になることを述べる。全体として、哲学の「エンターテインメントディベートの啓蒙・普及活動」とメリットの結びつきが感じられない点が残念ではあったが、随所にエビデンスを引用し、一通りの立証責任は果たす形となった。

■<否定側尋問>
「エンターテインメント」や「継続」などの定義を確認した後、現行の人数や教育の実績などを確認していく。ここで確認したなかで重要と思われる点は、2点である。

・講師をできる人間が1人で有償で講義を請け負ったことは、個人で1度あるだけであること。
・今後、参加費を徴収していく方向であること

■<否定側立論>
◇哲学・理念:『NPO法人化は不必要であるだけでなく、メンバーの経済的精神的負担を増加する」
◇デメリット4点
┣①人的基盤の問題
┣②経済的問題
┣③法人責任の問題
┗④活動理念の問題

概略としては
①NPO法人の必要人員を満たしていない
②所定の書類の作成等を外部に委託した場合、50万円ほどの費用がかかる
③理事に、責任を負わせることになる
④お金を徴収すると、観客が減り、活動理念に反する
という内容であった。
ここでは、②経済的問題 は確実に発生しそうで、 ④に関しては、肯定側としては、重要性が自分の理念なので、重要性についてはつぶせないうまいデメリットの出し方であった。一方、肯定側立論に対しては、メリットが具体的ではないと反証した。

■<肯定側尋問>
まず、エンターテインメントディベートの啓蒙・普及が重要であることを認めさせ、その点は、肯定・否定両者の共通認識であることを確認する。その後、BMのホームページに載っているメンバーの人数や、所定の書類の作成を自分で行った場合は、費用が0円であることを認めさせる。

■<否定第一反駁~肯定第一反駁>
否定第一反駁では、主に肯定側のメリットを丁寧につぶしていった。特に、肯定側が挙げていた、入場料や講義の収入について、具体的なインパクトに欠けることを主張した。一方、肯定側はデメリットをつぶし、自分のメリットを再主張する。
ここでポイントとなった点は2点
・否定デメリット②について「定款があるから、自分で書類の作成等を行える」と反論
・観戦料を取れることの証拠として「アンケートで、有料でも見たいという人が3割いる」 というデータを引用
この2点が、後で述べる通り否定側の反撃にあうことになってしまった。

■<否定最終弁論~肯定最終弁論>
まず、否定側最終弁論のポイントとなる、上で述べた肯定側反駁への再反論について、
・デメリット②への反論への再反論「実際に40万以上の費用がかかっており、もし自分で行う場合は、それに匹敵する作業が発生する」という反論で、金額が0になったとしても、デメリットは残ることを主張。
「アンケートで、有料でも見たいという人が3割いる」という部分ついては、「逆に7割の人が観戦に来なくなり、理念に反する」と肯定・否定双方が認める「エンターテインメントディベートの啓蒙・普及」に沿った反論を行った。この2点が鮮やかであった。
一方、肯定側は量的には多い最終弁論となったが、残念ながら新たなポイントを取るにはいたらなかった。

■<判定と総括>
BMの理念としては、肯定・否定とも「エンターテインメントディベートの啓蒙・普及」で一致したこともあり、噛み合った面白いディベートであった。「講義」などの話に時間を使い、理念からそれた感もあった肯定側に対し、理念に乗って試合を展開できた、否定側に軍配が上がった。

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