講評

講評

論題

BMディベートGP2004 ファイナル 準決勝
「論題:日本プロ野球は、一リーグ制にすべし」

講評:高澤拓志

肯定側:奥山真
否定側:井上晋
【試合結果】:否定側勝利
ジャッジ総数 5名(オーディエンスは全体で1票)
肯定側 46.9P(0票) 否定側 65.01P(5票)

■<概   略>
価値論題につき、判断基準を明確にする必要がある。今回は、
①血液型の信憑性
②信じることが日本人を幸せにするか不幸にするか
以上2点が争点になる試合となった。

■<肯定側立論>
◇哲学、理念
 『血液型は日本人がより深く理解しあう道具』
 血液型は人間の先天的なもの(気質)を形作るもの 気質→性格
◇メリット2点
 ┗①日本の国際的プレゼンスUP
  (1)わかりやすい
  (2)すぐ使える
  (3)応用がきく
 ┗②信憑性がある
  (1)血液型性格判断には70年の歴史がある
  (2)膨大な資料がある

①の相互理解に役立つとは、
より分かり合う、深いコミュニケーションがとれると説明するが、そのことによって日本人がどれだけ幸せになれるかが示せず②の信憑性についても、データの偏り・不足などがみられる。

■<否定側立論>
◇哲学、理念
 『科学的根拠のない性格判断は、社会を破壊する』

「信じる」「幸福」の定義を確定
以下の3点の問題(デメリット)を指摘 ◇デメリット3点
 ┣①科学的でない
   能見氏の資料は公表されてない
   矛盾を指摘
 ┣②差別と偏見の助長
   社会問題化
   就職の条件になったりする
   →先天的なもので差別するのは性別や国籍で判断するのと同じ
 ┗③希薄な人間関係
   コミュニケーションの重要性
   血液型ではなく、ちゃんと向き合わなくてはいけない

■<否定第一反駁~最終弁論>
・科学的でない
  能見氏の信憑性 ころころかわる
  調査の母集団は自分の読者カードだけ
・差別の助長
  血液型の番組の影響で子供がいじめをうける
・希薄な人間関係 
  72%がそう感じている

■<否定最終弁論~肯定最終弁論>
・科学的根拠
  能見氏はころころ変わるのではなく、試行錯誤をしている
・信じるの定義について
  信じるのレベルは低いもの (これは議論を弱めた印象を受ける)
・差別について
  それは知らない人の誤解(日経ネットからの引用)
  最終弁論で、差別があることは認める
  ただし、人と人がコミュニケーションを図るうえで必要な道具

■<総評>
この論題は、血液型の科学的信憑性と、それを信じることによって日本人は幸福になれるのかを説得できるかに勝負の分かれ目があった。

肯定側は、それを充分に説明できてないと判断する。信憑性については、能見氏のデータを中心に展開したが、否定側に指摘され根幹が揺らいだ。また、信じるの定義も自分で示さず、逆に否定側が提示したものを選ぶ格好になってしまったことまた信じるのレベルは低いものというのは、議論を弱くした。
また、信じることによって相互理解に役立つのはわかるが、そこからどのようなメリットがうまれるのか否定側がいっている希薄な人間関係を逆に利用してもよかったのではないか。
一方,否定側は、上記のとおり 信じるの定義をしっかりとして、肯定側の血液型の科学的信憑性のあいまいさをついたこと、さらに、差別や偏見が起こるという重要性の高い問題を主張したことで肯定側も返すことができずプレゼンでも、いつもの奥山らしさがみられず、堂々たる井上のプレゼンのほうが際立っていた。

否定側の勝利!!(ジャッジ団全員)

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