論題
BMディベートマニアⅣ 選手権試合
「日本プロ野球は、一リーグ制にすべし」
講評:久保田浩
肯定側:The Lonely Kings(太田龍樹・中村雅芳)
否定側:RE -離-(奥山真・中西夏雄)
【試合結果】:肯定側勝利
肯定側 67.79P 否定側 51.49
【肯定側立論】
「1リーグ制を導入し、チーム数を削減することがプロ野球の活性化につながる」ことを哲学に掲げ、全8球団での1リーグ制導入を論じ始めた。
プランの中で、現パリーグが採用しているプレーオフを採用。これにより、日本シリーズを代替するものとし、また3軍制を導入することからリストラ対象選手を緩和することを明示した。
メリットは次の3点。
M-①:パリーグに属する球団の経営改善
M-②:球団間の立場の均衡化
M-③:プロ野球における質の向上
主な各発生過程は以下の通り。
M-①について
現パリーグ球団が、巨人戦を行えることから、その放映権料で経営改善が図れる。
M-②について
巨人戦から得られる収入がセ・パ両リーグにおいて、均等化が図れることから、
平等な立場となる。
M-③について
収入の均等化が戦力の均衡につながり、球団数削減が球団格差減につながる。
以上、少々早口ではあったものの、構成はしっかりとした内容であった。
【否定側立論】
「セ・パの一本化は面白みを半減させる」という哲学で、現状維持という立場から勝負に挑む。
現状のメリットについて、
M-①:リーグ優勝とシリーズ優勝と、2回の優勝が味わえることからファンにとっての面白みは現状の方が大きい。
M-②:スポーツの面白さは対立構造にあるもので、セ・パ両リーグでの対決(日本シリーズ)がある現状の方が面白みは残る。
逆に、デメリットとして、
D-①:日本シリーズがつまらなくなる。
D-②:選手の受け皿が減り、すそ野が狭まる。
ことをあげた。
また、肯定側のあげたメリットM-①に対して、パリーグ球団の経営状況が改善する数字の根拠が明確でないことを理由にM―①は発生しない、更に、M-①が発生しないことから、戦力均衡も行われず、M-②、M-③についても発生しないと主張で、立論が終わった。
【反駁及び最終弁論】
否定側の反駁から始まるそれぞれのパートにおいては、各々のメリット、デメリットをつぶしにいく形で試合が進んでいった。一つずつ見ていこう。
まず肯定側の掲げたM-①についてだが、パリーグの経営改善を裏付けるデータについて議論が行われたが、ここでは多摩大教授の出したデータを有効とみなし、最終的にM―①については残ったものと判断した。
従って、M-②及びM―③についても、M―①から発生する戦力均衡から最終的に残ったものと判断した。しかし、否定側が第一反駁で述べたように、巨人一極集中の精力図は変わらないことから、均衡は巨人以外の7球団にとどまりメリットは大きくは残っていない。
一方、パリーグが経営上、危険な状態にあることを統一された見解となった。ここで否定側のスタンスは現状維持であるため、デメリットが大きく出てこないと試合に負けることになる。
D-①については、セ・パ両リーグによる対立構造で論証を試みたが、対立構造がどれほど面白いのか?テコにあたるべきデータがなく、言いっぱなしの感があった。またセ・パ両リーグによる対立構造は現状でも変わらず、それがパリーグの経営危機を招いていることから、説得力は全くない。更にD-②についても、3軍による救済措置が肯定側プランに盛り込まれており、すそ野が狭まること、あるいはその重要性を論証するには至らなかった。
【講評】
上述の、反駁以降にみられるように、肯定側のM-①が残り、更にM-②及びM-③がかろうじて残ったこと、またD-①、D-②が消えたこと、から肯定側の勝利とした。
これで、キング太田はまたしても、ディベートマニアというタッグマッチ最高峰の栄冠を手にしたのである。