論題
BMサマースラム2004 -破- ディベートマニア予選第4試合
「日本政府は、治安強化のため、警察官を増員すべし」
講評:井上晋
肯定側:本間賢一・中村雅芳
否定側:RE-離-(奥山真・中西夏雄)
【試合結果】:否定側勝利
ジャッジ総数5名
肯定側 44.67P(0票) 否定側 47.67P(5票)
合宿二日目の朝一番での試合。
前夜の大反省会にもかかわらず、朝5時に起床して準備した両チーム。
中西は万一敗れようものなら、ナイトからパートナーを解任される危機感をもって臨んだ試合
■<肯定側立論>
哲学 国民の求める安全な国づくりこそ日本の国益
プラン ① 警察内の合理化をした上で 2010年までに警察官2万人増
② 刑務所の増設
③ 3000億円の予算
④ 地域パトロールの強化
メリット 1 治安の強化
発生過程 ① 割れ窓理論の実践
② ひとりあたり犯罪件数の減少
533件→500件を目指す
③ 罪を犯せば罰を受ける
2 警察の信頼の回復
国民が求めるもの パトロール強化 17%
警察官の増員 8%
具体的な効果を打ち出せず。
また、国益という言葉は深い考察をした上で使うべし (メインジャッジ太田氏評)
■<否定側尋問>
肯定側の立論に対し
プラン実行で治安はどれくらいよくなるのか?
3000億円の効果はどれくらいか?
との問いに、肯定側 具体的数値もなく「わからない」と応える
■<否定側立論>
哲学 国家権力の強化につながる警察官増員は最後に行われるべき
としたうえで、肯定側のプランが有効でないことを以下の3点について言及
① 検挙件数が減っている(H8~H13)
② 今の組織(減点方式)ではモチベーションがあがらない
③ 外国人・少年犯罪に対応できない
また、デメリットとして 以下の2点
1 国家権力の強化になる
日本史上の治安維持法を例にとって説明
2 コストの増大
3000億円かけても効果がわからない
■<肯定側尋問>
有効な尋問としては
国家権力を持つことは悪いことか?
→ 悪くない。
ただし、意味のない強化はNG。
この1点くらいか。
■<否定側反駁・最終弁論>
メリットへの反駁として、
割れ窓理論は増員しなくても実践できると主張
また、一人当たり犯罪件数を500件にすることの妥当性が
証明されてないと反論
またデメリットの補強として
国家権力の強化につき
・警察庁頂点の構造が変わらない点
・歴史的経緯について、監視社会への移行の恐れを説明
最終弁論で、増員以外に効果が上がる政策として
保護観察や不法滞在者の取締りを上げているが、
これは、現状に問題があることを認めており、不要であった。
最終的に、肯定側のプランでは実際の効果がわからないというのが結論
■<肯定側反駁・最終弁論>
否定側の反駁に対し、
「効果は薄いが、少しでも効果が上がるものはやるべき」と トーンダウンした。
国家権力の強化への反駁も有効なものはみられず。
■<判定>
否定側の勝利
肯定側は、増員の効果がいかほどかを示せず、
3000億円かけるには効果が薄いことを最終弁論で認めた。
メリット1の発生過程もすべてつぶされ
メリット2もたたず (パトロールの強化と警察官増員は違う)
一方の否定側も
メリットを確実につぶして勝利をおさめたものの
哲学の 「増員は最後に行われるべき」というのは
哲学としてはわかりにくい
また、最終弁論でまったく違うプランを出したのは、ナイトらしからぬミス