講評

講評

論題

BM漢祭り2004 -最終節- ディベートナイト タイトルチャレンジャー決定戦
「論題:日本政府は、国民年金の保険料徴収方法を税方式にすべし」

講評:高澤拓志

肯定側:井上晋
否定側:奥山真
【試合結果】:否定側勝利
ジャッジ総数74名
肯定側 51.3P(37票) 否定側 54.5P(37票)

■<総評>
今回は「社会保険方式」と「税方式」のちがいをきちんと理解してディベートに打ち出せていたかがポイントとなる
「社会保険方式」は、給付と拠出の関係が明確になると同時に、国民全体を保険料で相互扶助していくという福祉国家的発想に基づいている。
一方で、「税方式」は4割ちかい未納問題が勃発しているなかで、税として国民から徴収することにより、あらゆる不公平感をなくしていきながら年金財政の改善に寄与するねらいがある。
これに基づき議論を見ると

■<肯定立論>
哲学 年金とは社会の助け合いシステムである
この哲学は、「公的年金制度を維持すべきかどうか」という論題ならよいが、この論題は、財源の確保をどうやっていくかを論じるものである。
ましてや、助け合いという側面は「社会保険方式」にあるものであり肯定側の「税方式」化の哲学ではない。
現状分析 1800万人のうち4割が未納は問題
この分析は正しいと思う

メリット① 年金システムの維持
これは、未納者がなくなることにより財源が安定化するという論理
メリット② 3つの助け合いがある
(1) 世代間 (2) 所得層間 (3) 世帯間
ただし、これが税方式化によって達成されているという証明がいまひとつ
(1) 世代間・・・・高齢者富裕層からも税金がとれる
(2) 所得層間・・・・高所得層からたくさん税金がとれる
(3) 世帯間・・・・サラリーマンの妻からも税金がとれる?

しかし、これは助け合いというより不公平感の解消という側面が強いのでは?

■<否定側立論>
社会保険の理念を
① 受益と負担の関係の明確化「拠出なくして給付なし」
② 自立、自助の精神 日本は高福祉国家ではない(租税率36.9%)とし

デメリット① 財政の自由度が失われる
デメリット② 消費税の益税に関する不公平
にスポットをあてた

また、肯定側 福田官房長官の「年金制度は崩壊の方向」という議論に、まったく論理的証明がないと反論。この時点で、社会保険の理念を明確に打ち出した否定側と税方式の哲学があいまいな肯定側の違いが鮮明であり、勝負がついた感がある。

■<反駁以降>
否定側は、肯定側の「年金制度崩壊」の論理の飛躍をきびしくつく
また、財政の硬直化(デメリット①)の議論をのばしたのに対し、肯定側は、「それは政治がフレキシブルに機能しないから、税率を変えればよい話」と反論。しかし、否定側 「政治の信頼の低さ。また消費税率上げの難しさ(内閣が4回倒れた現実、日本の風土に合わない)」とかえし、デメリット①は残った。
また、デメリット②に対しては、最終弁論で初めて反駁があったため無効、デメリット②も残る。肯定側のメリットは、個々には消費税と直結しているものもあるが先に述べたように
・ 哲学があいまい
・ 年金制度崩壊の論理飛躍がある
したがって、メリットが有効に機能せず哲学論題と結びつかず

よって、しっかりした社会保険の理念を打ち出し、デメリット①、②が残った否定側の勝利!!

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