論題
BM漢祭り2004 予選第6試合(2004年2月)
「日本政府は、裁判員制度を導入すべし」
講評:井上晋
肯定側:久保田浩
否定側:中西夏雄
【試合結果】:肯定側勝利
ジャッジ総数18名
肯定側 62.19P(13票) 否定側 51.91P(5票)
■<概 略>
久保田の落ち着いた語り口に中西も引き込まれ、淡々とした試合展開となった。
日本の民主主義のあるべき姿を展開する肯定側に対し明確な対抗軸を提示できないままの否定が散逸な攻撃を繰り返すうち試合は終了した。
■<肯定側立論>
◇プラン5点
┣①裁判官3名 裁判員6名とする
┣②事実認定と量刑を裁判官と裁判員で決定する
┣③決定は合議とし、多数決で決める(ただし、必ず裁判官が1名含まれること)
┣④対象となるのは、重大事件
┗⑤裁判員に選ばれるのは、20歳以上の選挙権を持つもの(忌避可能)
◇メリット5点
┣①国民の理解と国民的基盤が増す
┣②民主主義の適正な土壌ができる
┣③国民が成長する
┣④公平性がUPする
┗⑤スピードUPにつながる
かなり落ち着いたトーンで、まるで静かな朗読のような立論。民主主義を守るためという哲学に基づきプランとメリットが整理され伝えられた。また、メリット5点は、それぞれ丁寧に立証されており好感の持てる立論であった。ただし、少々迫力に欠けるか。
■<否定側尋問>
続いて中西の尋問。「検察審査会」や「最高裁判事の弾劾裁判」などに固執した尋問に結構な時間を費やす。この論題の本質からは少々遠い事柄に時間をかけているようでこれからの展開に不安を覚える。唯一、有効な反撃につながりそうな「メディア問題」についての尋問あるがこの後どう展開されるか、、。
■<否定側立論>
◇デメリット2点
┣①公平性が損なわれる
┗②国民の負担が増える(時間的負担と精神的負担)
立論全体の構成が分かりづらく、メモが取りづらい。デメリット2点については、ほぼエビデンスがなく、立証不足と思われる。メリットへの反証についても、もっとも時間をかけるべき(重要なメリット)M1,M2,M3への攻撃はほぼなく、ややお飾り的においてあるM5に多くの時間を費やしていた。ここは、大きな作戦ミスと思われる。
■<肯定側尋問>
いつもよりいっそう落ち着いたトーンで進んできた久保田が、ここでまた変化?確実に「Yes」と答えさせる尋問を重ねプランの正当性を認めさせようというものらしい。面白い試みであり、かつ、有効に機能しているようにも見えた。欲を言えば、結局なにを強調したかったのかを明確にする一言、「つまり、民主主義のためには、国民参加が不可欠ですね。」といったような確認が付属していればと思った。
■<否定反駁~最終弁論>
ここまでは、明らかに否定不利。逆転のためには否定反駁でのスパーク(昨年のマニアでシャープディベーターに輝いたあの中西の輝き)が必要であったが、いかにも単調な反駁。ただ、主張を繰り返すのみで、エビデンスはゼロ。準備不足なのか、心なしか中西のひときわ低い声が涙声に聞こえる。ここですべてがおわった、、。あとは、ナイト久保田が瑣末な議論を整理してゆき、余裕で最終弁論を迎える形となった。