講評

講評

論題

BMディベートナイト決定戦
「日本政府は、自衛隊を軍隊とすべし」

講評:太田龍樹

肯定側:井上晋 BMディベートグラディエーター
否定側:久保田浩 BMディベートナイト
【試合結果】:否定側勝利
ジャッジ総数 59名
肯定側61.65P(44票) 否定側 55.46P(15票)
※メインジャッジ間のねじれ判定が発生した為、合議の結果、否定側の逆転勝利という判定となった。

今回の試合のポイントは、ずばり、プランの具体化であったと私はみた。

肯定側・井上晋の立論におけるプレゼンの流暢さなどはまさしくディベートマジ シャン井上晋の真骨頂を如何なく発揮せしめたが、プランの部分で井上は自衛隊を
①防衛軍とし
②集団的自衛権を行使できるものとし
③侵略戦争は認めず
④国連要請のみの出動とする、
4点を肝にしたプランをあげたが、これでは、軍隊の意味がまったくわからない。もっとわかりやすく言えば、今の自衛隊と全く同じように しか受け取れないのである。

BMディベートマニア選手権試合においても、HMS24が同じ陥穽にはまっていたが、この自衛隊を軍隊にするプランの具体化の部分では、
①自衛隊の編成をどうするのか(例えば、現行専守防衛を、攻撃型にかえる)
②防衛費を現行と比べ上げるのか、上げないのか?
という部分の話が必須なのである。

今の自衛隊の専守防衛を、軍隊化することでどのような編成にするのかに関しては、井上もHMS24もまったく触れるどころか、現状と同じでよいと言っている。なぜ、それで、このようなプランで、メリットが発生するのか、いや絶対的に発生しないのである。
本質論を無視したディベートであり、ディベートが泣いていた試合だったと言わざるを得ない。

また、争点として絶対挙げられる、中国・韓国などの反発にどう対処していくのか、という肯定側のシナリオもまったく想定できていない(考えていない)。
上記、ロゴス的観点から見れば、まさしく井上の自爆(立証責任果たせず)であ り、ディベートナイト久保田浩はそれに助けられた試合だったといえる。
しかし、ディベートはロゴスだけではなく、パトス・エトスも含めたバランスだと はよく言ったもので、井上のそれらはナイト・久保田を遥かに凌駕していたことは賞 賛に値する。
BMディベートマニアⅢの大舞台で、大舞台に強い井上晋がいて、その結果オーディ エンス票が井上に引き寄せられたこともよくわかる。

パトス・エトスの影響力。井上晋が試合に勝って、ディベートに負けた、なんともまぁ示唆に富んだディベートであった。
ディベートナイト・久保田浩の底力をBM漢祭り2004ではとくと拝見させていただく ということで、彼へのコメントは後に譲る事としておく。

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