講評

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論題

ディベートマニア・カーニバルシリーズ 11月第2試合
「日本の小・中学校は週5日制を変更すべし」

講評:中西夏雄

肯定側:POLESTAR(奥山・久保田)
否定側:晋選村(井上・ディベーターA)
【試合結果】:肯定側勝利
ジャッジ総数 14名
肯定側62.72P(11票) 否定側 49.9P(2票)

■<概   略> 肯定側は「公共教育機関の強化」を標榜し、基礎学力に重点を置き、学力のボトムアップを図っていくというプラン。
対する否定側は、「社会変化に合わせた教育改革」を哲学とし、学力の意味を問いながら、現状の教育政策こそ、時代に合った教育であると説いていく。

■<肯定側立論>
◇プラン4点
 ┣①5日制→6日制
 ┣②親の学校運営への参加
 ┣③総合学習→基礎学習へ振替
 ┗④学習指導要領改訂

◇メリット4点
 ┣①学校運営に対するチェック機能が持てる
 ┣②学力低下ストップ→基礎学力のボトムアップ
 ┣③学習意欲のアップ
 ┗④学習機会の均等実現

◇考  察
プラン②④は論題とリンクせず、かろうじて③はリンクするように見える。が、ここから発生するメリット①は論題と無関係のためポイント対象外、②③④については、メリットはありそうなものの、発生過程が見えづらく、判断しづらく見えにくい。また5日制から6日制にしなければならない必然性も見えてこない。

■<否定側立論>
◇枠組み
 現在求められう学力と肯定側の考える学力とは異なる
  →よって肯定側プランは問題の本質が違うため無効
  →現状の教育施策は、現在求められる学力アップに合致する

学力とは「知識と考える力(自ら問題発見・解決)」。社会変化の激しい中では、このような力こそ、今後の日本に必要であると説く。学習意欲の低下は、学歴によって、従来のような見返りを得られないことによるものであり、肯定側の考える学習意欲低下とは、問題の根源が違うため、肯定側のプランは何ら意味をなさない。
それに対し、現状の週休2日制だと「ゆとり」があり、子供たちに学ぶことの意味を考え、気づかせることができる。

◇考  察
学力に対する定義はよかったが、それが「今後、日本に必要な学力」、「ゆとりが学ぶことの意味を考え、気づきにつながる」という内容を論証できていない。また、否定側の大きな敗因である決定的ダメージとして、肯定側プランのデメリットを全く挙げないという、考えられないミスを犯してしまう。

■<否定側反駁>
肯定側メリット①無効、②③も立論の通り、内因性が異なるため、発生しないと述べたが、如何せん、内因性が異なる部分を立証しきれず、「わかる」とはどういうことかに時間を費やしてしまう。
デメリットを挙げられなかった分、内因性の違い、「週5日制」のメリットを全面に出すべきだったが、展開がよくなかった。

■<肯定側反駁>
否定側の「自ら考える力」を逆手にとり、それも学習意欲あればの前提と切り返す。また「ゆとり」と「わかる」ことの発生過程の不備を突きつつ、「ゆとり」の失敗事例を海外に求め、否定側の息の根を止めた。欲をいえば、肯定側メリットの発生過程の補強等にも時間を使ってもらいたかった。

■<否定側最終弁論>
学習意欲低下は先進国の必然、学歴=見返りの図式が成り立たなの主張のみに終わり、補強や立論の強い再主張とはなりえなかった。 この時点で、肯定側のメリットが薄っすらとではあるが、残ったと判断でき、雌雄は決した。

■<肯定側最終弁論>
デメリットのない点を確認しつつ、肯定側プランによって、現状よりもベターになる点を強調しまとめ上げることで、勝負の色づけをよりはっきりさせることに成功した。

■<判定と総括>
肯定側勝利の判定。
肯定側が論題の枠超えにより、わずかにしか残らなかったメリットを、否定側の攻撃をかわしながら、最後まで主張できた。
これに対し、否定側は立論においての論証ができておらず、反駁最終弁論も有効に活用することができなかった。しかし致命的だったのは、デメリットを挙げることが出来なかった点といえよう。
両者ともに、週5日制が最適かそうでないかという論題にうまく 沿っていくことができず、やや散漫なディベートに終始した印象を与える結果となってしまった。
しかし、肯定側の否定側立論を逆手にとった反駁での切り返しや、否定側の、学習意欲低下は学歴=見返りの図式崩壊によるものとする論には見るべきものがあった。
両者の熱い姿勢に、今後の結果を期待したい。

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