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2016.2.11(木)
第32回 「週刊誌発のスクープ」(2016年2月11日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第32回
週刊誌が元気です。
甘利元大臣を辞任に追い込んだ贈収賄のスクープ、ベッキーの不倫報道、SMAPの解散報道も週刊誌の早や刷りが発端で、ジャニーズ事務所が週刊誌記事対策としてスポーツ紙に記事を書かせたものです。また、清原元プロ野球選手の麻薬報道も、2年近く前から週刊誌が報道を重ねていたものでした。
こうしてみると、2016年になって世間を騒がせた報道のほとんどが「週刊誌発」と言えます。
この原因はなんでしょうか?
逆に大手のマスコミである、新聞やテレビは何をしているのでしょうか?
私が考えた原因は2つです。
1つはよく言われていることですが、大新聞やテレビは体制側におもねってしまい、思い切った報道ができないというものです。
情報はある程度つかんでいるけれど、上層部の意向で潰されてしまうというものです。
SMAPの解散騒動を伝えるテレビ報道などを見ていても歯切れが悪いですし、NHKクローズアップ現代の国谷キャスターの降板劇をみていても、権力側に頭が上がらない大手メディアの実態が垣間見えます。
都合の良いことしか報道しなくなれば、マスメディアの役割は終わっています。
2つ目は、週刊誌を含む雑誌を取り囲むとても厳しい経営環境です。
日版 営業推進室「出版粒販売額の実態2015」によると、週刊誌の年間の売上額は、
2000年の約8700億円から2014年では、約5300億円と実に40%近い下落です。
この大逆風のなか、各出版社はまさに生き残りをかけて、必死の攻勢に出ているのではないでしょうか。
甘利氏事件における実名告発者によれば、同様の情報を大手新聞社の記者にも提供したそうです。
しかし、荒唐無稽の話として取り合ってもらえなかったそうです。
一方、週刊文春の記者は、昨年の8月に情報は受け取とった後、裏付けの為に半年に及ぶ独自取材を実施し、今回のスクープに結び付けています。
可能性にかけて、地道な行為を継続するところにプロの仕事が見えます。
また、確証のない怪しげな情報からでも真実を掘り出そうとする、雑草魂というか泥臭さを感じます。
厳しい経営環境のなか、自らの存在意義を守るための意地があったと思います。
このような泥臭い仕事は、大手新聞社のエリート記者は好まないのではないでしょうか。
「圧倒的に予算や組織が脆弱な週刊誌のスクープを、コメンテーターのコメントで少しデコレーションして提供する大手新聞やテレビマスコミ」という構図が定着しているように思います。
週刊誌好きの私としてはすこし誇らしい気持ちがしましたが、一方で、第四の権力と言われるマスコミの現状に暗澹たる気持ちにもなります。
皆さんは、どう思いますか。

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