2015.9.24(木)
第27回 「安全保障関連法案可決と落選運動」(2015年9月24日)
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第27回
安全保障関連法案は、多くの反対意見が表明される中、9月19日に可決・成立しました。
1万人に及ぶ人々の反対デモが繰り広げられましたが、我々が選挙で選択した結果は変えられなかったようです。
SEALDsなど反対運動を展開した団体は、今後「落選運動」を行っていくとのこと。
そこで、今回はこの「落選運動」について考えてみたいと思います。
「落選運動」は、日本の公職選挙法第142条の5で「当選を得させないための活動」と定義されていている合法行為です。
かつ、選挙運動ではないと解釈されています。
つまり、「誰かを当選させよう」という意図がなく、「ただ特定の人を落選させよう」という行為は、ネットの利用や活動期間に制限を受けないということです。
来年7月の参院選にむけて今すぐにその活動をすることもできる活動です。
法案審議中の世論の高まりをみると、この活動は与党に大きな打撃を加えるのではないかと予感させますが、私は上手くいかないのではないかと考えています。
理由は二つあります。
一つ目は、本来の落選運動の目的とずれるということです。
落選運動は、政治家としてふさわしくない人を落選させようという運動です。
「○○は、裏金をたんまりもらっているぞ」
「○○は、国会開催中にプライベート旅行に公費で行っていたぞ」
などなど、
「この人物は、「人として」公職に就かせるわけにはいかない」という活動になります。
これから展開される落選運動の場合、落選させたい理由が議員の人的な資質や不正ではなく、議員としての主義主張に対するものになります。
「彼は、不正をしている」と「彼は、法案に賛成している」をごちゃまぜにして、「落選させよう」という主張は、かなり無理があると思います。
二つ目は、この活動はあくまでも副次的な活動と思われるからです。
「誰がリーダーかを決めよう!」という活動でなく「誰がリーダーになってはならないかを決めよう!」という活動が落選運動です。
表裏で言えば裏であり、主流傍流でいえば傍流で、光と影でいえば影です。(少し言いすぎでしょうか、、、)
人々が心を動かし、組織を大きく動かすときには、分かりやすい大義名分が必要ですし、何よりも明るさやストレートさが必要です。今回SEALDsの活動が広がりを見せたのも、分かりやすさやストレートさ、純粋さを多くの人が感じたからでしょう。
これと同じ理由で暗さや影の雰囲気を、人は敏感に感じ取ります。
落選運動にはどうしてもこの部分がついてまわります。ましてやその理由が不正腐敗ではなく、その議員の主張であればなおさらです。
来年の7月に、これまで選挙に行かなかった半数の国民一人一人が真剣に自分たちのリーダーを選べば、法案反対派の方々の主張する民主主義も守られるはずです。
皆さんは、どう思われますか?