2014.10.25.(土)
第15回 「日本のマスメディアは、報道規制を受けるべき」(2014年10月25日)
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第15回
深夜、家に帰り、夜のニュース番組をつけると、
団扇をもった議員のまくし立てる姿とそれにこたえる大臣の姿が、、、
どうも、国会の様子です。どこかの小学校の学級会かと思わせるようなやりとりに愕然としました。
キャスターは、「真相を究明してほしい」とのコメント。。。
いやいや「政治をしっかりとしてほしい」でしょうが!
などと突っ込んでしまいました。
前回は、朝日新聞の問題に触れましたが、今回はマスメディアの問題について触れてみたいと思います。
論題は、ずばり
「日本のマスメディアは、報道規制を受けるべき」です。
実際には、かなり危険な論題であることは承知しているのですが、敢てチャレンジです。具体的なプランは、第三者機関による検閲ということになるでしょう。
さて、
反対される理由となるデメリットは、明確です。
・言論の自由が奪われる
・国民の知る権利が奪われる
というものです。
この自由や権利は、人類が長い歴史のなかで勝ち取ってきた大切なものです。
それをおいそれと手放すことは許しがたいというものです。
また、これらの自由が奪われることは、権力へのチェックや抑制も働かなくなるということも言えます。
確かに、ゆゆしき問題です。
一方で、メリットはなんでしょうか。
今回は、「第4の権力となっているメディアへのチェック機能を働かせる」というメリットを取り上げてみたいと思います。
国の統治のあり方として、日本には3つの権力が備わっています。
すなわち、立法権(国会)、行政権(内閣)、司法権(裁判所)です。
これらの権力は暴走するといけないので、互いにチェックをしたり国民のチェックを受けています。
しかし、これらに大きな影響を与えうるマスメディアには何らチェックが働いていない状態です(各団体の自主規制やガイドラインはあります)。
彼らは、世論を作ることができます。
世論というと明確な意見のようですので、その時代の空気という方が良いかもしれません。
例えば、ニュースでの国会中継で、団扇を振り回す議員の映像を多く流せば、日本全体に「現在の問題は、団扇なんだ、、」という空気を作ることということです。
実際には、もっと多くのもっと重要なことも議論されているのですが、パフォーマンスが派手なものにニュースバリューが付くと、そういう空気を作ってしまいます。
このニュースがどうでもよいと言っているのではなく、あくまでも取扱の方法を問題にしています。
もう少し具体的な例もあげましょう。
神戸の小学生殺害事件や、佐世保の事件などの報道を受けて、「最近は物騒な事件が多くなっている。気を付けなければ」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
朝日新聞でも、「子供連れ去り事件が昨年は94件あった」として警鐘を鳴らしています。
http://www.asahi.com/articles/ASG9S6CTJG9SUTIL03P.html
この94件は、「94件しか」なのか「94件も」なのか触れていませんが、印象としては、「94件もあったのか、こりゃ大変だ」という印象を与えるものです。
一方で、「犯罪統計書」を基にして、以下のような報告もあります。
「小学生数は70年代の3割減、80年代の4割減ですが、殺される小学生数は7割減、6割減と大幅に減少。」
「幼稚園生以下が殺される事件は8割削減。」
つまり、幼児の殺人被害件数は、確実に減ってきているというのが統計上の事実です。
マスメディアは、事実を事実として報道し、正しい認識を国民に与えているのでしょうか。報道の自由の御旗の元、半ば聖域化してきたマスメディアの世界にも規制が必要なのではというのが、肯定側の主張になります。
メディアもビジネスである限り、職業倫理が崩壊すれば、公的な規制が必要になってくるのでしょうか。そのような社会は、住みよい社会とは言えませんが、実害が出るのであれば検討は必要かもしれません。
統制されたメディアから良い報道は出てこないはずであるが、
正しい報道のために規制が必要というパラドックス、
皆さんはどう思われますか?