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2014.5.29.(木)
第8回 「プロ経営者は日本に根付くか」(2014年5月29日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第8回


しばらく、政治の話が続きましたので今回は経営のテーマを扱います。

テーマは、
「プロ経営者は日本に根付くか」。

少し前では日産のゴーン社長が有名で、最近のニュースでは、マクドナルドで辣腕をふるっていた原田泳幸氏が、通信教育、語学、介護などのベネッセHDの会長兼社長として招聘されました。
そのほかにも、LIXILグループの藤森義明社長兼CEO、ルネサスエレクトロニクスの作田久男会長兼CEOなど、他社のトップから別の会社のトップに転じて活躍する例が相次いでいます。


欧米では、このような事例は珍しくないようですが、日本では根付いていくのでしょうか。

いつもの通り、キャストライトアップしてみましょう。

「経営者」
「株主」
「社員」

といったところが、主なキャストでしょう。


まず、「経営者」についてみてみます。
外部からトップを招聘してくるという文化が根付く為には、
やはりそれだけプロの経営者の供給が潤沢であることが必要です。

戦略論の第一人者である、神戸大学の三品教授は、日本での供給は十分でないとおっしゃっています。
理由として、「日本の大企業では社長候補にまで上がりながら社長になれなかった人材が経営者マーケットには出てこずに、その会社内にとどまっているから」としています。
先に上げた、LIXILグループの藤森義明氏は、外資系企業でキャリアを積んだ方ですので、日本の企業人の中では異例なキャリアといえるでしょう。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20131118/255998/?rt=nocnt

日本ではまだまだ、「終身雇用」や「就職ではなく就社」というメンタリティーが強く、プロ経営者をどんどん排出するという土壌できていないようです。

次に「株主」についてみてみましょう。
株主が大切にしたいのは、未来に対するビジョンや計画とその実行力です。
旧来の人間関係や習慣に縛られて動きが取りづらい内部からの経営者よりは、背水の陣で大ナタを振るえる外部からのプロ経営者に期待する向きは大きそうです。
特に海外の投資家は、日本の企業に対して、外部取締役を増やせと言ってきていますので、先々はトップについても外部のプロを雇えと圧力をかけてくることになりそうです。
つまり、日本においても外部環境はプロ経営者の台頭を待っていると言えます。


最期に「社員」についてです。
ある日から、会社のトップが全く知らない人になるという状況は、サラリーマンにとってどのようなものなのでしょうか。
仕事に対する価値観は人それぞれでしょうから一概には結論を出せない問題ですが、長く務めてきた社員にとっては、ストレスの方が大きいかもしれません。
なぜなら、外部からのプロ経営者の仕事の大きなものは、「これまでのやり方を変えて成果を出すこと」だからです。
藤田田さんが作った日本マクドナルドを引き継いだ原田氏ものとで、多くの幹部社員たちがマクドナルドを去ったのは有名な話です。
企業にとって変化していくことは重要ですが、その方向性とスピードが社員のそれと合わないときは、やはり社員が立ち去るしかありません。
もちろん、変化をプラスととらえて自分のキャリアを形成することに成功する人もいるはずです。


今回このコラムを書いてみて感じたことは、働き方や会社と社員の関係は否応なしに欧米のそれに近づいてきており、その流れは加速していくのだろうなということです。

コミュニケーションする力や判断する力など、どのような環境でも必要となる仕事力を身に付けておかないと、変化の大きな社会で仕事を楽しむことができなくなってしまいますね。

では、ごきげんよう。

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