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2018.2.6(火)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第62斬 「消えゆく保守」(2018年2月6日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第62斬 「消えゆく保守」

保守思想の大家である西部邁(にしべ・すすむ)先生が、
2018年1月21日に多摩川(東京都)にて亡くなりました。

河川敷に遺書らしきメモが残されていたことから、
自裁死を選んだと推測されています。

ディベートでは、保守vs革新という対立構図が常です。
したがって、保守の立場に迷うときには、
いつも、西部先生の書籍に立ち返り、
「保守とは?」「国家とは?」「日本人とは?」
という本質論を頭に叩き込んだのを覚えています。

西部先生のご冥福を心よりお祈りします。

■永続化する米国支配

西部先生は保守の立場から、「無念の戦後」と称し、
アメリカ支配が継続する日本を憂いていました。

自ら死を選ぶ人に共通して言えることは、
「絶望」つまり「希望がない」ということと思います。

政権継続だけを願い対米従属を深める政界、
本当に大事なことを隠し、報道するメディア、
上がるどころか、下がり続ける日本人の民度、

これらすべてに絶望して、
西部先生は亡くなったのかもしれません。

2018年2月4日に行われた沖縄県名護市長選挙。
米軍基地の辺野古移転に反対する現職市長を退け、
自公が推薦する新人が市長に選ばれました。

これで、また一歩、
米軍基地の永続化・固定化へと近づいたことになります。

戦後日本の矛盾、理不尽さが凝縮した土地・沖縄。
「保守」の火が弱まることがプラスになるとは、
私には到底思えません。

■多様性という価値

討論番組「朝まで生テレビ」にも出演されていたように、
西部先生は立場の違う人との対話を大切にしていました。

落語家・立川談四楼(たてかわ・だんしろう)氏の
Twitterによると、

「西部邁忘年会の司会を務めた。
『様々な思想の客が来るのに捌ける人がいないんだよ』
 との殺し文句に私は意気に感じた。
 なるほど左右が入り乱れている。
 そこへ呼ばれてない鳩山元総理がやって来た。
 挨拶させるなの声しきりだったが、私は紹介した。
 先生はニッコリ『それでいい』」

思想(哲学)の違い、立場の違い、視点(視座)の違い、
人が違うのは当たり前。「多様性」こそ守るべき価値と、
西部先生は教えてくれます。

■新聞メディアの違い

多様性が大切といっても、
どうしたら多様な意見を持てるようになるのでしょう?

「継続は力なり」ということで、
日々触れる新聞の選び方を例にとります。

先に沖縄問題に触れましたので、
2018年1月6日と8日に、立て続けに発生した、
米軍ヘリの不時着(墜落?)事件に対する、
各誌の見出しと私のコメント(→以下がコメント)を載せます。

<2018年1月9日付朝刊>
▼読売(第2社会面3段)
「米軍ヘリ また不時着/沖縄・読谷 ホテル近く けが人なし」
→扱い弱く、けが人なしを強調。政権擁護がはなはだしい

▼産経(第2社会面3段)
「米軍ヘリ また不時着/沖縄・読谷 伊計島の機体は撤去」
→読売に追随する記事はまあいつものこと、
 ”島に落ちた”と強調してる部分がとても気持ち悪い

▼日経(社会面4段)
「米軍ヘリ また不時着/沖縄・読谷 付近にはホテル」
→扱いが小さく、経済界に手厚い政権擁護の立場です

▼朝日(1面3段+社会面4段)
「米軍ヘリ また不時着/沖縄・読谷 住宅地から300メートル」
「不時着『なぜこんなに』/米軍ヘリ わずか2日後、憤る沖縄」
→もりかけ疑惑と同様、反政権の姿勢強し

▼毎日(1面3段+社会面4段)
「米軍ヘリ また不時着/沖縄・読谷 ホテルから数百メートル」
「『沖縄の空飛ぶな』/米軍ヘリ また不時着 県民怒りの声」
→中道・客観的な記事が多い傾向、ただし踏み込みはその分浅い

▼東京(1面トップ4段+社会面トップ4段)
「沖縄米軍ヘリ また不時着/読谷村 ホテルまで250メートル」
「続く不時着『極めて異常』/怒る沖縄 突然異音 低空飛行」
→朝日同様、反政権の姿勢強い、他誌に先駆けてのスクープ多い
テレビ業界はNHKをはじめ、政権よりの姿勢が強いため、
あまり各社の報道内容に違いはないように感じます。
したがって、多様な視点・視野を持ちたい方は、
新聞は、朝日・毎日・東京をお勧めします。
蛇足ですが、私は反政権意識が強い市民なので、
あえて読売新聞を契約しています。
よいしょ記事や重要な問題から目を逸らす「スピン記事」が多く、
『相変わらず政権擁護に忙しいな(笑)』と、
連日ニヤニヤしながら新聞を読めるというメリットもあります。

■まとめ
ディベートでは、自分の意見とは真逆の立場で、
議論を構築しなくてはなりません。
会社の仕事を考えた時に、相手の立場にたって、
自論を補強する必要は大いに感じることと思います。
多様な視点、賢者の視座を身に付けるためにも、
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