2016.7.24(金)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第47斬 「来たるべき国民投票にむけて」(2016年7月24日)
第47斬 「来たるべき国民投票にむけて」
ステージ4の直腸がんを乗り越えた、不屈のジャーナリスト・鳥越俊太郎氏が、
7月12日、東京都知事選(14日告示、31日投開票)への出馬を正式に表明!
鳥越氏は「参院選の結果を見て決意した」とし、
「残りの人生を東京にささげたい」と意欲を語っています。
民進党など野党4党は支援していくことで一致。
一方、自民党は増田寛也元総務相と小池百合子元防衛相に分裂。
足並みのそろわない自民に対して、野党の巻き返しなるか、要注目です!!
鳥越氏出馬の動機となったのが、自民党・公明党などの改憲勢力が、
3分の2議席以上を獲得した参院選の結果。
鳥越氏いわく、
「憲法改正が射程に入っている。
戦争を知る世代として流れを変える力になれたら」
そこで、今回のコラムでは憲法改正について取り上げます。
■憲法改正の要件
日本国憲法第96条第1項は、2つのハードルを設けています。
ハードル1)衆・参両院にて総議員の3分の2以上の賛成
ハードル2)国民投票にて過半数の賛成
この2つのハードルによって、
現憲法は、制定以来、改正されないまま現在に至っています。
しかし、歴代内閣と比較してみても、
安倍内閣はもっとも改憲に積極的な政権です。
デモやストが極端に少ないと言われる日本でさえ、
安全保障関連法(安保法制)をめぐる大規模なデモが起きました。
裏を返すと、衆議院・参議院で過半数を占める与党が、
かなり強引に安保法制を通したということでしょう。
安保法制自体は、2016年3月29日に施行されており、
最後のヤマである憲法改正を残すのみ。
今回の参議院選挙にて、
ハードル1(総議員の3分の2以上)をクリアした為、
ハードル2(国民投票)はもはや”待ったなし”という状況です。
■熱しやすく、冷めやすい日本人
社会学者の宮台真司氏は、
日本人は「お祭り体質」ゆえに、”忘却癖”が強いと論じています。
お祭り(非日常)の特徴は、それが終わって日常に戻れば、
すぐに忘れてしまうことに繋がるからです。
つまり、日本人は「熱しやすく、冷めやすい気質」であるということ。
そういえば、安倍首相の祖父である岸伸介元首相も、
国民の猛烈な反対を押し切ってアメリカと安保条約を締結しました。
戦前の日本が通った道のごとく、
「憲法改正」→「集団的自衛権行使の乱用」→「戦争への道」
とならないか、とても心配になります。
■国民投票の重み
英国によるEU離脱(ブレグジット)による世界的な混乱は、
記憶に新しい出来事です。再投票を希望する声が上がっているようですが、
再投票にはならないでしょう。
なぜなら、「1つのテーマに関して投票は1回」という原則がある為です。
国民投票の先進国・スイスでも同様の原則が貫かれています。
つまり、やり直しが効かないということです。
国を二分する国民投票という点では、
改憲の是非を問う日本の国民投票とブレグジットは大変状況が似ています。
憲法改正のハードルは高いがゆえに、一度”改悪”してしまうと、
『二度と戻れない道』に入り込んでしまうという落とし穴があります。
改憲に賛成票を投じる際には、強く肝に銘じる必要があります。
■正しい判断の為に
ディベートのジャッジ(判定)には様々な要素が求められますが、
私が一番大切だと思う点は、「ムードに流されない」ことです。
「空気を呼んで結論を下す」もしくは「声が大きい人の意見を採用する」
ことが常態化している企業も数多いと思います。
ですが、死活的に重要な、やり直しが効かない決定に際しては、
ムードではなく、論理的なアプローチが欠かせません。
来たるべき国民投票にむけて、ロジックを鍛えたい方、
正しい判断を下す確かな目を持ちたい方、
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