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2016.1.1(金)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第40斬 「眉唾ものの慰安婦問題の最終的解決」(2016年1月1日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第40斬 「眉唾ものの慰安婦問題の最終的解決」
新年明けましておめでとうございます。
今年も、私を含めた5人のBMコラム、どうぞよろしくお願いします。
さて、今回のコラムでは、2015年12月28日に合意された、
『日韓外相会談による慰安婦問題の最終的解決』について取り上げます。
ニュースや新聞をご覧になった方の中には、
 『長年の懸案が解決してよかったね』
 『でも、本当に解決したのかね?』
このような思いが錯綜した方も多いのではないでしょうか?
そこで、ディベート思考を使って、
この問題が本当に解決した(する)のか? を見ていきます。
■最終的解決とは?
まず「最終的解決とは何か?」という点を明らかにしなくてはなりません。
ディベートではあいまいな言葉を定義することから始めます。
明確なゴールを設定しないまま、議論を進めることは時間の無駄になるからです。
日韓それぞれのゴールを見てみましょう。
 韓国側ゴール1)日本政府の法的責任追及
 韓国側ゴール2)韓国の国民が納得できる解決策
 日本側ゴール1)次期大統領含め問題を蒸し返さない
 日本側ゴール2)慰安婦像の撤去
はたして、今回の合意内容(プラン)で、
韓国・日本それぞれのゴールを達成できるのでしょうか?
順に検証していきます。
■韓国側ゴール
ディベートでは『プランによる問題解決性』を主要論点として扱います。
つまり、プランが問題を解決するかという点を検証するということです。
まず、『法的責任』については、
今回の合意(プラン)において、
日本政府は1965年の日韓請求権協定で解決済みという立場を崩していません。
「責任を痛感し、心からおわびと反省の気持ち」を再表明したのみ。
つまり、ゼロ回答です。
続いて、『韓国の国民が納得できる解決策』ですが、
国民全員を納得させる解決策などあるはずもなく、そもそも達成不可能なゴールです。
いつでも、「韓国国民が納得しなかった」という言い訳ができます。
今回のプランでは、
「日本政府が約10億円を拠出し、元慰安婦への支援事業を行うこと」になりました。
支援事業が確実に実行されることを前提として、
「韓国政府は納得する」という立場を示しています。
しかし、あくまでも”逃げ道”付きの合意であるということを忘れてはいけません。
いつか、韓国得意の『動くゴールポスト』が発動し兼ねないということです。
■日本側ゴール
まず、『次期大統領含め問題を蒸し返さない』については、
過去の歴史を振り返ってみるのが一番わかりやすいと思います。
歴代大統領の発言を振り返ってみると、
元大統領の金大中(キム・デジュン)氏、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は、
「(歴史認識に対して)今後、過去の問題は出さない」と約束しました。
しかし、現大統領である朴槿恵(パク・クネ)氏は反故にしています。
公式文書もアテになりません。
1965年の日韓請求権協定では、韓国国民の請求権に関しては、
「完全かつ最終的に解決された」と条文に明記されています。
続いて、『慰安婦像の撤去』ですが、
アメリカを拠点に活動する韓国系の市民団体は、
 「合意での日本の謝罪はあいまいで法的責任を認めていない。」
 「合意は我々を縛るものではなく、啓蒙的な活動をやめることはできない」
などと表明しており、
今後も慰安婦像を設置する動きを継続支援する考えを示しています。
韓国政府もまた、「民間団体がやっていること」と一線を画しています。
■まとめ
今回の日韓合意においては、
日韓双方のゴールが何ひとつ達成できないことがわかりました。
ただ、好意的に解釈するのであれば、「10億円の拠出」によって、
「しばらくの間は韓国政府を黙らせる」という効果があります。
米国も歓迎の意向を示していることを考慮すると、
「慰安婦カード」を再度出し辛くなるという点にも、
10億円の価値を見出すことができそうです。

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