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2013.11.14.(木)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第8斬 嫌いな人とどう付き合うか?-その2-(2013年11月14日)

ほぼ月イチコラム 嫌いな人がいなくなるとっておきの術
コーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」 第8斬

今日のターゲットは「嫌いな人とどう付き合うか?-その2-」

皆様、こんにちは。

前回のコラムでは、「身近にいる厄介者(嫌いな人・苦手な人)」に対して、
どのように対応していくかについて触れました。

具体的なポイントとして以下の3点をご説明しました。
 1)完全に嫌いになる前に手を打つ
 2)相手を知る努力をする(なるべく多くの共通点を探す)
 3)自分の弱みを隠さない

今回のコラムでは、
どうしても付き合わざるを得ない相手がいて、
しかも、既に完全に嫌いになってしまった場合どうするの?
というケースについて、話を進めていきます。

一言でいうと、感情レベルで処理できないものは、
別次元で処理しないといけないという話です。

ここでいう別次元とは、論理的に分解していこうというアプローチです。
大きく分けると、以下のステップで処理していきます。

ステップ1)問題の所在(=悪い点)を明らかにする

 ディベートにおいては、あいまいな話というのは通りません。
 つまり、具体的な話に落としていくというプロセスが不可欠です。

 例えば、あなたが上司を嫌っているとします。
 そして、嫌っている理由として「上司としてありえない」と考えているとしましょう。

 具体的に、何がありえないのか? どのようにありえないのか? 
 誰が迷惑をこうむっているのか? その結果、発生している弊害はどの程度の影響があるのか?
 これらの事実を明らかにすることです。

 問題点を具体化・言語化するという作業を行うことで、
 嫌いになってしまった原因・所在を明らかにしていくことに繋がります。

 注意点としては、事実に基づいた分析を行うことです。
 「ケチっぽい奴だ」ではなく、
 「サービス残業を強要する際でもジュース一本振る舞わない」という事実をベースに、
 「上司としてありえない」とする理由を洗い出します。

 ここでは、例として、以下の事実が明らかになったということにします。

  事実A)ケチである
     「サービス残業をチームメンバーに強いる際でもジュース一本振る舞わない」
 「自分から飲みに誘っておきながら常にワリカンになる」

  事実B)自分勝手である
     「チームメンバーに相談することなしに、ワンマンに物事を決めてしまう」
 「上司が重要だと思う仕事以外の仕事について、価値を認めてくれない」

ステップ2)良い面を探す

 前のステップでは「上司としてありえない」とする理由・具体例を明らかにしました。
 続いてのステップとしては、「上司としてできている」部分について探します。

 バーニングマインド・理事を務める太田龍樹は、
 著書『話し方にもっと自信がつく100の法則(中経出版)』の中で、

 「法則23:すべてのことを必ず両面から見る」ことの重要性に触れています。

 言い換えると、「物事には良い面、悪い面が必ずある」というのが、ディベートの基本的な考え方になります。

 とかく人間というものは感情に支配される生き物です。

 「嫌い」という感情が先行する余り、無意識のうちに、
 「上司の良い面」から目をそむけているということが多々あります。

 あえて客観的な視点を用いて、嫌いな相手を見ることが大切です。

  事実X)コスト感覚がすぐれている
 「予算折衝では確実に必要な予算を確保してくる」
 「プロジェクト費用について、ポイントをついた鋭い突っ込みが入る」

  事実Y)自分の考えを伝えている
 「毎週のチームミーティングでは、チームの方針や目指すべき方向性を打ち出している」
 「他部門との調整では率先して火消しをする」

ステップ3)良い面・悪い面を比べてみる

 ディベートのジャッジ(判定)を行う際には、必ず良い面・悪い面の比較を行います。
 比較するポイントとしては、どの程度のインパクト(影響)があるかを客観的に判定します。

  事実A:ケチである   vs 事実X:コスト感覚がすぐれている

  事実B:自分勝手である vs 事実Y:自分の考えを伝えている

 事実Aについては、極めて個人的な問題であり、
 「上司は部下に奢るものだ」という価値観に偏った見方ともいえます。
 
 一方、事実Xについては、会社が利益を追求する組織体であるとすれば、
 上司として必要不可欠な資質といえるでしょう。
 また、影響としてはチーム全体のパフォーマンス・評価につながる話なので、影響度は大きいと言えます。

 このような形で、「良い面」「悪い面」を並べて比較することで、感情的に「好き」「嫌い」と決めていた部分を、論理的に見直すことができます。

 感情的に判断するということは、主観的な視点に偏るということ。
 論理的に判断するということは、客観的な視点で修正を加えるということです。

ここまでの内容をまとめます。

嫌いなタイプでも、付き合わなければならないというケースは山ほどあります。
仮に、運良く嫌いな人と離れることができたとしても、
やがて、新たな嫌いな人が現れてきます。

そして、嫌いな人と出くわすたびに、
「イヤだ、イヤだ」と常に考えながらストレスを溜め続けることは苦痛です。

それよりは、感情(主観)だけで判断を決め付けず、論理(客観)を入れて、
嫌いな人の良い面にも目を向けてみる方が建設的な態度といえます。

嫌いな相手を見直すことができると、何か嬉しい気持ちになりませんか?

「嫌なヤツだと思ったけれど、話が分かるヤツだった」

皆様が、このような嬉しい誤算に出会えることを切に祈っています!!

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