2014.10.10.(金)
アビコ青年のネオ・ディベート事件簿
File24「効率より大切なもの」(2014年10月10日)
本日のテーマは「効率より大切なもの」です。
なぜか居心地が良い…。私には、そう思わずにはいられない場所があります。「スターバックス・コーヒー」、通称スタバです。自宅では手がつかなかった仕事でも、スタバに行くと不思議と集中して取り組めます。
たいていの場合、お店に長居するのは気が引けるものです。お店も回転率が下がりますから、やはり「早く帰ってほしい」のが本音でしょう。
ところが、スタバは長居している客(私)に満面の笑顔で「新作のケーキとドリップコーヒーはいかがですか?」と、試食まで届けてくれるから驚きです。
それまで、数々のお店で「もう閉店時間です」「お客様、お勉強はご遠慮願えますか?」「あの、やめてもらえますか?」等々、迷惑な客として排除され続けた私にとって、スタバの対応には感動さえ覚えました。それ以来、私はスタバのファンとなり、「自宅→職場→スタバ→自宅」と、私の生活パターンにスタバは完全に組み込まれました。
だからこそ、興味がありました。「なぜ、スタバはここまで客を温かく受け入れてくれるのだろう?」と。
「スターバックスの教え〜感動経験でお客様の心をギュッとつかむ!〜」(目黒勝道著 朝日新聞出版)によると、スタバの元役員であるハワード・ビーハー氏は、「私達はコーヒーを売っているのではない。コーヒーを売りながら『人を喜ばせる』仕事をしているのだ」と語っています。
その証拠に、スタバでは人を喜ばせるための行動原則として、「OUR STARBUCKS MISSION」を定めています。このMISSIONは全部で6つありますが、コーヒーについて語っているのはたった1つだけです。残り5つは、「お客様とのつながりを大切に」「お店を自分の居場所のように感じてもらう」等、コーヒーには一切触れていません。スタバの目的が、コーヒーの販売だけではない何よりの証です。
そして、スタバの社員には「グリーンエプロンブック」と呼ばれる小冊子が配られます。ここには、先ほどの「MISSION」やスタバの「行動指針」がシンプルに記されています。この冊子に、スタバ店員の存在意義として、次の記載があります。
「感動経験を提供し、人々の日常に潤いを与えましょう」。
試食を出されては「感動」し、気づけば生活サイクルに組み込まれていたスタバは、確かに私の日常に「潤いを与えて」くれました。何とも言えない居心地の良さは、店員が一丸となってスタバのMISSIONを実践しているからこそ生み出されるものだと実感します。
「話し方にもっと自信がつく100の法則」(太田龍樹著 中経出版)には、法則96「人を心から喜ばせれば『人たらし』になれる」とあります。人の内面を知り、人が喜ぶことを見つけて実行すれば(つまり、おもてなしの精神を実行すれば)、人は必ず感動します。スタバの行動指針も、まさに「おもてなしの精神」を体現するためのものです。
余談ですが、スタバは2009年に売り上げが大幅に減少しました。お店が増えた結果、サービスの質も味も落ちてしまったのが原因です。そのとき、アメリカ本社がとった対策は、「アメリカの全店舗を3時間早く閉店し、全員でエスプレッソの淹れ方やサービスを再確認すること」だったそうです。確かに売り上げは落ちますが、お客様へのサービスの質を向上させることを優先した結果でした。目先のコーヒーの売り上げに惑わされなかったからこそ、その後の躍進があったのは言うまでもありません。
コミュニケーションの本質に迫る「使えるディベートセミナー」。ネオ・ディベートでは、ディベートに勝つことは通過点に過ぎません。心からお互いを尊重した人間関係を築くことに、徹底して取り組んでいきます。第14期は、卒業生向けのアドバンスト・コース終了後に開催予定です。詳細は、弊社HPをご参照下さい。
以上、アビコレポートでした。