2015.1.26.(月)
ひろ☆たかさわのディベートちょっといい話
第89回 「クロネコメール便を廃止」(2015年1月26日)
ひろ☆たかさわの ディベートちょっといい話 第89回
こんばんわ
テロをめぐるニュースが世界をかけめぐるなか、
ニュースをひとつ。
ヤマト運輸が
今年の3月31日で「クロネコメール便」を廃止すると発表した。
メール便というのは(ご存じ無いひとのために)、
封筒に書類(あるいは冊子や書籍)を入れて
A4版で厚さ1センチ以内のものなら
税抜き80円でコンビニなどから簡単に送ることができ、
遠隔地でも、中2日程度で届く。
料金体系は、
速達ならプラス100円などのメニューがあるが
手軽で安く
かつ、問い合わせ番号がつくから
パソコンで送付状況を追跡確認できるのね。
これを、なぜ廃止するのか?
ヤマト運輸のホームページを見ると、
「郵便法」上で禁止されている、
「信書(しんしょ)」の配達による違法行為を防ぐためと書いてある。
信書の定義は、総務省のホームページによると
『特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書』とある。
だから、「便箋に書いた手紙」は
相手になんらかの意思表示をするのだから「信書」だ。
だったら、ものを送るんだからすべて意思表示があるのでは?
と思ったら、書籍やパンフレット・カタログ、チラシだけを送るのは
「信書」にはあたらないから、
メール便で送っても大丈夫だということなのよ。
ややこしいのは、
たとえば、企業から個人への、支払代金の請求書は
代金の請求を意思表示するものだから、「信書」に該当する。
でも、この請求書は、その企業と個人のあいだでの売買契約があるから
その当事者間では「信書」に該当するけど、
企業の営業所間で、業務のなかで送付する場合などは、
「信書」には該当しないのだそう。
ヤマト運輸は
これに関し、郵便法違反で
送付したひとと宅配業者であるヤマト運輸が
それが悪意があるかどうかにかかわらず罰せられた事例が
5年間で8件あったと公表している。
これを無くすためにメール便を廃止するということが、
ホームページに書かれている。
「お客様に迷惑をかけられないから」ということね。
前置きは長くなったけど
メール便は、2丁目の連中もよく使ってたから
今後どうなるのか、注目してるのよ。
また、ディベート的にみてみるわ。
まず、ヤマト運輸サイドは、
「信書の定義」があいまいで、
問い合わせても明確に答えてくれないと
ホームページで宣言している。
これに対し、
高市早苗総務大臣は、
「信書の定義は『郵便法』で明確に定義されており、
総務省は利用者や業者に周知し
個別の照会には明確に回答している。」と記者会見で語った。
双方の言い分が食い違っている。
これはディベートではないが、
まずは、議論の入り口のところで、
「信書」の定義のすりあわせが明確でなく、
なおかつ、それが理解されているかどうかも不明確。
これでは、正しい議論ができないわね。
そうなると、
本当にこの理由(信書の定義のあいまいさ)が
メール便廃止の理由といて正しいのか
疑わしくなるということになる。
こうして、相手のロジックがくずれ、反論の糸口ができる。
この問題は尋問や反論する必要もないのだけれど、
本当の理由は、
メール便事業の採算悪化でなないのか?
そもそも、信書便を事業者や代理店がチェックしていたのか?
などの尋問をかけていき、
ヤマト運輸が言っていることの信憑性を問うていくことができる。
日本郵便は民営化されたのだから
そもそも、信書便をほぼ独占している状態がおかしいという議論もある。
ただ、郵便事業というのは、国民に一律に安価で安全に信書を届けるという
理念もわからなくはないし、
メール便は、あくまで民間の宅配便のひとつなのよね。
そういう、そもそもの
お互いの存立基盤をみていくことも必要だけど、
メール便に、封筒で手紙を送ってはいけなかったということを
どれほどの人が理解していたのだろうって思うのよね。
日本郵便の事業と、民間の宅配便の違いを
この「信書」問題を通じて理解するきっかけにはなったかもしれないわね。
知らないで、犯罪者扱いされてはたまらないから・・・・・
それでは また
BY ひろ☆たかさわ