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2017.9.4(月)
第51回 「北朝鮮問題」(2017年9月4日)

ほぼ月イチコラム
時事問題がわかる BURNING MIND主席講師・井上晋の『賛否両論のための基礎知識』 第51回
私の父が生まれ育った山口県宇部市は石炭で有名な町で、戦前から多くの重工業でにぎわっていました。その為、戦争中は米軍の爆撃機による空襲も頻繁に行われていたそうです。小学生の私は、「夜中に空襲警報が鳴って防空壕まで走った。」とか「あの空襲警報が鳴ると、なんとも言えない嫌な気分になった。」とかそんな話を聞かされていました。叔母は「終戦となり一番ほっとしたのは、空襲警報に怯えなくても良くなったこと。」とも話してくれました。当時は自分が知らない国の話をされているような気分だったのを覚えています。
時は流れて2017年8月29日、初めて発令されたJアラートはおどろおどろしい色合いでテレビに登場しました。終戦後再び「空襲警報」が鳴ったこととなります。
今回は、北朝鮮の問題について考えてみます。
まず、押さえておかなければいけないのは、北朝鮮の目指しているところです。
北朝鮮の最終目的は体制の維持であり、具体的には米国との平和協定の締結でしょう。忘れられがちですが朝鮮戦争は1953年に「終戦」したのではなく、「休戦」している状態ということです。この休戦状態を正しく終戦とし米国との平和協定締結が彼らのゴールです。
その為に、有利な状態で米国を交渉のテーブルに誘い出そうとしているのが、現在の挑発行動と言えます。
では、現在の国連の声明や、断固たる抗議や、経済制裁で、北朝鮮が核開発、ミサイル開発をやめて大人しくなるかというと、その可能性はほぼありません。
なぜならば、核弾頭とそれを米国まで飛ばせるロケットは、彼らの最終目的を実現するための唯一のかつ強力なツールだからです。こんな美味しい話がすぐそこまで来ているのに、経済制裁程度で「米国と対等になる為のカード」を放棄するはずがありません。
では、すぐにアメリカと北朝鮮が全面戦争を再開させるかというと、そのハードルは高いと私は考えています。
一つ目の理由は、北朝鮮側は戦争がしたいのではなく体制維持が目的であるということです。戦争になれば、さらに少しでも長期化すれば、北朝鮮の負けは目に見えています。核という鋭い矢でアメリカに一矢報いることはできても、そのあとにボコボコにされるのは軍事力の差からみて明らかです。
二つ目の理由は、アメリカ側の事情です。トランプ大統領がツイートするのはタダですが、戦争は膨大なお金と武器人員などの資源が必要です。現在すでに、イラク、シリア、アフガニスタンで大量の戦費(7兆円)を使っている中、北朝鮮に対しても全面戦争を行い、二正面作戦を実施できる体力はないと思われます。クリントン政権時代に北朝鮮攻撃を検討した際の費用が約11兆円だそうです。当時より敵が強力になっているのであれば、当然戦費は増えるでしょう。
つまり、現状は
・北朝鮮は、開発と挑発をやめない
・米国は、「口撃」はするも戦争はしない
・国連も効力を持たない
・日本も断固たる抗議のみ
この状態が続くとどうなるかというと、北朝鮮が立派な核保有国になる(もうそうなっているかも)ということです。
そうなると、アメリカとの交渉は一気に進みます。イスラエルの例が良い例でしょう。
その時日本は、交渉のテーブルにはいなく、蚊帳の外の国になっていると思われます。
持てる国同士の交渉に持たざる国が介入する意味がないからです。韓国も同じ立場になっているかもしれません。
さて私の想定で話を進めているのですが、どうしてこのような状況になるのでしょうか? もしくはなったのでしょうか?
私たちは、北朝鮮という国を見誤ってしまったのではないでしょうか。
あの、アナウンサーの芝居がかった話しぶりに。張りぼてのような街並みに。彼の魔人ブーのような風貌に。
北朝鮮がとってきた戦略は確かに危ういものでした。瀬戸際外交という言葉がそれをよく表しています。しかし、一方でどんなに国民を飢えさせようとも、世界中を敵に回そうとも、かつての大敵アメリカと対等な関係になるべく、最短距離を一直線に歩き続けた結果が今日の彼らの存在感なのではないでしょうか。
一方、軍事力をもって自らの足で立つということを放棄した日本は、「断固たる抗議」を続けながらテーブルの周りをうろうろすることになりそうです。
最後に我々ができることはなんでしょうか。
一つは、憲法を変えて核を保持することです。
しかし、核を保持するということは、「いざとなったら撃つぞ」というマインドを国民のコンセンサスとすることです。これは、法律の改正以上にハードルが高いでしょう。
もう一つは、軍事力以外の存在感を、経済や外交で持つことですが、消費(人口)を持たない日本にとっては簡単なことではありません。輸出による経済とは、決定権は顧客である外国にあるからです。日本が大消費国というお客であればこそ存在感を出せます。
最後は、守りを固めることとなります。スイスのように核シェルターの普及率を100%にするなど、Jアラートが鳴ったときに駆け込むところを作るべきでしょう。
私の父や叔母が、懸命に防空壕に逃げ込んだように、逃げ込むべき穴を作ることが我々に残された道でしょう。
皆さんはどう思いますか。

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