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2018.1.2(火)
ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第61斬 「衰退する超大国アメリカ」(2018年1月2日)

ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼いたします」
第61斬 「衰退する超大国アメリカ」

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

さて、2017年11月5日~7日にかけて、
米国トランプ大統領が初来日しました。

成田空港ではなく横田基地に直接乗りつけるという、
一見意味のない『パフォーマンス』を見せました。

今回はこの『パフォーマンス』の裏事情を、
ディベート的アプローチ、つまり、
現状分析⇒仮説検証⇒主張という形で論証していきます。

「ディベートの基礎知識」について知りたい方はこちらをご覧ください。

現状分析

横田基地乗りつけがどのぐらい異例か見てみます。

<アメリカンセンター・ジャパン>
https://americancenterjapan.com/aboutusa/usj/

上記記録をまとめると以下のようになります。
つまり、米国大統領の来日は羽田空港が妥当ということです。

フォード大統領  羽田空港着(1974/11/18)
カーター大統領  羽田空港着(1979/6/24)
レーガン大統領  羽田空港着(1983/11/9)
クリントン大統領 羽田空港着(1993/7/6)
ブッシュ大統領  羽田空港着(2003/10/17)
オバマ大統領  羽田空港着(2009/11/13)

横田空域という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
日本の空であって、米国の完全支配にある空域、
それが横田空域や岩国空域です。

公人として羽田空港を使うのではなく、
まるで自国内を移動するかのごとく、横田空域から入国する。

日本国民に対してのメッセージというよりは、
安倍首相をはじめとする政治家・政党、
そしてマスコミへのメッセージと見るべきでしょう。

「お前たちの主人は誰か言ってみろ」

というメッセージです。

実際、トランプ大統領は、
米国からの武器購入を量的に拡大する、ことを要求し、
安倍首相もそれに応じる運びとなりました。

ここでの問題提起としては、

「なぜ、米国はわざわざ、軋轢(あつれき)を生みかねない
 パフォーマンスを選択したのか?」

ということです。

■仮説の設定

米国の財政事情が背景にあります。

米国債上限は法律によって制定されています。
これを債務上限と言いますが、米国フォーブス誌によれば、
1996年以降、約80回の債務上限引き上げを繰り返しています。

2017年9月7日の日経新聞記事は、

「ムニューシン財務長官は9月中に、
 債務上限を引き上げなければ資金が枯渇し、
 米国債がデフォルト(債務不履行)しかねない」

ことを明らかにしています。


さて、ここで、仮説を立ててみます。
「米国はかなり衰退しており、なりふり構う余裕はない」

ここでのポイントですが、
仮説ですから、どんな設定でも構わないということです。

突拍子もない発想であっても、しっかりと仮説検証すれば、
立派な突破口になることもあります。

■仮説検証①(論証)

まず論証しなくてはいけません。

ディベートのルールでは、
「主張するなら理由を示す」必要があります。

主張:米国はかなり衰退している
理由:多くの国が米国に反する行動をとるようになった

理由を補完する意味で、客観的なデータでフォローします。
(以前に紹介した三角ロジックという方法です)

データ1:ロシア製の武器を親米国が相次ぎ契約

→2017年10月11日の毎日新聞記事の抜粋です。
『ロシアは、5日にはサウジアラビアと防空用の
 最新鋭地対空ミサイル「S400」の売却で合意、
 9月にも米国と同盟関係にあるトルコと
 「S400」輸出契約を締結』

データ2:フィリピン大統領、米国と決別宣言

→2016年10月6日のNewsWeekの記事の抜粋です。
『ドゥテルテ大統領は「いずれ米国と決別する」
 と断言した。米国が武器を売りたくないのであれば、
 ロシアに頼む』

別の理由づけも可能です。

主張:米国はかなり衰退している
理由:覇権主義から自国優先主義に転向した
データ:オバマもトランプも
   「米国は世界の警察官を降りる」と発言

■仮説検証②(反証

論証した後は、自分で反証してみます。
論証と同じく、理由とデータを提示することが必要。

主張:米国は衰退していない
理由:経済指標はとても良い
データ:失業率は低めで推移、株価はとても高い

このように、両面から仮説検証を進めることで、

「失業率が低いのに、
 フードスタンプ対象者が増えているのはなぜだろう?」
 ※フードスタンプとは米国生活保障制度の一つ

「ウォルマートなど大量閉店しているのに、
 株価が高いのはなぜだろう?」

という新たな疑問を持つようになり、議論が深まります。

■まとめ

自分の中で、
現状分析→問題発見→仮説設定→仮説検証を進める手法を、
「ひとりディベート」と言います。

ビジネスの世界でも、「ひとりディベート」をして、
提案をまとめれば、絶大な説得力が生まれます。

トレーニングをすれば必ず身に付けられる技術です。
弊社のセミナーで一緒に学んで参りましょう。

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