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2017.11.10(金)
アビコ青年のディベート事件簿
File63「マグロ漁船の漁師に学ぶ、コミュニケーションの基本」(2017年11月10日)

ほぼ月イチコラム アビコ青年のネオ・ディベート事件簿 file 63
本日のテーマは、「マグロ漁船の漁師に学ぶ、コミュニケーションの基本」です。

■「マグロ漁船に乗ってこい」
とても興味深い本に出合いました。
「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ漁船で学んだ」
(斉藤正明著・マイナビ新書)
著者の斉藤さんは、研究所に勤める会社員。
ですが、担当していた「マグロの保冷剤」の開発が上手くいかない中、
ある日の会議で上司から突然告げられました。
「斉藤ちゃん、マグロ漁船に乗ってマグロのすべてを学んで来い!」
当時、入社1年ちょっとの斉藤さんは、
上司が何を言っているのかわからないほど動揺しました。
そんな思いとは裏腹に、
会議から2週間後には大分県からマグロ漁船に放り込まれ、
40日以上も陸地に戻れない長い旅に出ていきました。
絶望的な気持ちを抱えたまま…。

■危険なマグロ漁
マグロ船は危険です。
実際に死亡事故が多い仕事です。
2004年には、漁師が船から転落して死亡。
2006年には、船長が乗員に刺殺されて死亡。
2008年には、イージス艦と衝突して漁師が死亡。
ですが、斉藤さんが乗った船は、
そうしたイメージとは全く異なる世界でした。
全長わずか20mの船に、屈強な漁師が9名も乗船。
甲板にはマグロや漁の道具がひしめき、
寝室も寝返りを打てないほど狭い空間のみ。
そんな究極のストレスが溜まりそうな環境にも関わらず、
漁師たちはイライラした様子を全く見せませんでした。
実は、そこには「上手なストレスの受け止め方」や、
「上手なコミュニケーションの仕方」があることに斉藤さんは気づきます。

■親方の妙技、「上手なしかり方」
例えば、「しかり方」一つをとっても工夫が光ります。
漁で上がったマグロに紛れて、
ヨシキリザメ(いわゆる「人食いサメ」の一種)が上がった時のこと。
一人の漁師がそのサメに長靴をかまれてしまうも、
奇跡的に長靴に大穴が空いた程度でけがをせずに済みました。
漁師仲間たちが「神業じゃ!」「すげえ!」と興奮する中、
操舵室から親方の怒声が響き渡りました。
「一体、何やっとるんじゃ!
せっかくマグロをうまくさばけるようになったお前がここでケガしよったら、
みんなが困りよろうが!こんバカ!」
興味深いのは、このとき怒られた漁師本人はとても嬉しかったそうで、
今まで以上にこの船で頑張ろうと思ったことです。
お察しの通り、実は親方のしかり方はとても上手いのです。
口調は怒っているのですが、
「お前はさばくのがうまい」
「お前が欠けると、戦力が劣ってしまう」
「お前はこの船でとても役立つ人間だ」
という三点をしっかり伝えているのです。
つまり、相手の能力や存在を尊重する表現が入っているので、
叱られる側も愛情を感じられるのです。

■コミュニケーションの基本は「相手の立場を考える」こと
正論(ロゴス)を言うことは誰にでもできます。
正しいことを言っているのだから、指摘を受けた側も文句は言えません。
ですが、それで相手の心に「しこり」を残すのは上手なやり方ではありません。
そこで大切なのが、「相手の気持ちを考える視点」(パトスエートス)です。
言うべきことはしっかり言う。
ただし、言われた側が素直に納得できる工夫も忘れない。
これこそが、円滑なコミュニケーションの秘訣だと思います。
まさに当コラムで繰り返しお伝えしている「キャスト・ライトアップ」に通じます。
マグロ漁船の中では、
しかり方以外にも様々なコミュニケーションの工夫が随所に散りばめられていました。
とても興味深いエピソードが満載ですので、
またの機会にご紹介できればと思います。

■正論を超えた説得力、それが「ネオ・ディベート」
マグロ漁船の話を聞いてとても興味深かったのは、
弊社の「人間心理も理解したディベート(ネオ・ディベート)」に通じるものを感じたことです。
誰かに何か指摘をしなければいけない時(苦言も含めて)、
正論(ロゴス)は確かに正しいのですが、
言い方を間違えると言われた側の心理的反発は大きいものです。
そんな時こそ、
相手の立場に立った「言い方(表現)」に気を使う必要があります。
そんなちょっとした気遣いの違いが、コミュニケーションを円滑にさせるか、
はたまた停滞させるかの大きな分岐点になっているものです。
では、どうすればいいのか?
その答えの一つが、弊社の使えるディベートセミナーです。
人間心理も踏まえたコミュニケーションの仕組みを明快に解き明かして、
誰でも理解できる型として体系的に学べるプログラムをご提供します。
斉藤さんがマグロ漁船に乗らなければ知りえなかったノウハウが、
新宿の会場できっちり学べます!
以上、アビココラムでした。

※お知らせ 第24期『使えるディベートセミナー』(2018年4月22日(日)スタート)の受講生募集中です。
皆さんの人生を切り開ける武器を、一緒に学んでみませんか?
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以上、アビコレポートでした。

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